羽田空港事故で安全対策 管制「ナンバーワン」当面使用停止へ

羽田空港事故で安全対策 管制「ナンバーワン」当面使用停止へ

羽田空港で起きた航空機どうしの衝突炎上事故を受け、国土交通省がとりまとめた緊急の安全対策の内容が明らかになりました。
事故の前に管制官が伝えた出発の順番を意味する「ナンバーワン」ということばを海上保安庁の航空機が離陸許可だと取り違えた可能性もあることから、対策では当面、事前に出発順は伝えずに離陸許可を出すとしています。

今月2日、日本航空の旅客機が羽田空港に着陸した直後に、滑走路上にいた海上保安庁の航空機と衝突して炎上した事故では、海上保安庁機が誤って滑走路に進入し、管制官や日本航空機はこれに気がついていなかったとみられています。
事故を受け、国土交通省がとりまとめた緊急の安全対策の内容が明らかになりました。
それによりますと、事故の前に管制官が伝えた出発の順番を意味する「ナンバーワン」ということばを海上保安庁機が離陸許可だと取り違えた可能性もあることから、対策では当面、事前に出発順は伝えずに離陸許可を出すとしています。
出発順を伝えることばは、全国の空港で広く使われていますが、管制官の指示としてではなく、円滑な運航に役立つ情報として使われています。
伝達の取りやめは、羽田を含め、各地の空港で実施されるということです。
また、対策では航空会社などに対し離着陸時の操縦席からの監視徹底を指示し、滑走路への進入に関する管制のことばをパイロットに改めて周知するほか、羽田、成田、大阪、関西などの空港で滑走路に入る手前の停止線を目立つ色に変えるなどとしています。
今回の事故をめぐっては、国土交通省は、これまでにも緊急の対策として滑走路への誤進入を防ぐため、羽田の管制業務で機体の位置を確認できるモニターを常時監視する担当を新たに設けています。

海上保安庁は緊急の安全対策として、全国の航空基地などに対し、安全のための会議の開催や運航マニュアルの点検をするよう指示しました。
会議では、運航の前後に手順や役割分担などについて乗組員どうしで話し合って意思疎通を図ること、運航中にそれぞれが気づいたことを積極的に伝え合う、クルー・リソース・マネジメントの実践に努めることなどを改めて確認するよう求めています。