羽田空港事故 海上保安庁の機長「エンジン出力上げたら追突」

羽田空港で起きた日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機の衝突炎上事故で、海上保安庁の機長が「エンジン出力を上げたところ後ろから突っ込まれた」と話していることがわかりました。
国の運輸安全委員会は事故前の海上保安庁の航空機の動きなどについてさらに調べを進めています。

2日、日本航空の旅客機が羽田空港に着陸した直後に、滑走路上にいた海上保安庁の航空機と衝突して炎上し、海上保安官5人が死亡、1人が大けがをしました。
日本航空機では乗客15人がけがや体調不良で医療機関を受診しました。
この事故で、海上保安庁の機長は事故のあと、「エンジン出力を上げたところ後ろから突っ込まれた」と話していることが関係者への取材でわかりました。
機長は「進入許可を受けたうえで滑走路に進入した」、「離陸許可をもらった」とも話しているということです。
一方、国土交通省が公表した管制官と双方の機体との交信記録には、管制官から海上保安庁の航空機に対し、滑走路への進入を許可する記録はありませんでした。
また、管制官と日本航空機のパイロットはいずれも、滑走路上の海上保安庁の航空機に気がついていなかったとみられることもわかっています。
国の運輸安全委員会は、事故前の海上保安庁の航空機の動きなどについてさらに調べを進めています。

羽田空港で起きた衝突炎上事故で、海上保安庁の航空機は衝突までおよそ40秒間、滑走路上に停止していたとみられることがわかりました。
専門家は、日本航空機のパイロットが事故を避けるための時間は一定程度あったとしたうえで、「長く停止していたことでかえって見えづらくなった可能性もある」と指摘しています。
NHKが羽田空港に設置したカメラには事故を起こした海上保安庁のものとみられる航空機の衝突前の様子が映っています。
この航空機は誘導路からほとんど止まることなく、C滑走路に進入しています。
そして、滑走路に入ったあと、日本航空機と衝突するまで滑走路上でおよそ40秒間、停止していました。
これについて、日本航空の元機長で航空評論家の小林宏之さんは日本航空機のパイロットが気がついて、事故を避けるための時間は一定程度あったとしています。
そのうえで、「停止していた時間が比較的長かったことで機体の明かりがほかの灯火と混ざってしまいかえって日本航空機のパイロットや管制官から見えづらくなった可能性がある」と指摘しています。
また、「海上保安庁の航空機はスムーズに滑走路に入っていて『離陸の許可を得た』と認識していたとすればつじつまが合う。ただし、その後、比較的長い間、滑走路上に停止していたのは不自然で疑問が残る」と話しています。