雪道の車 荷物ないと立往生しやすい傾向 大学研究グループ

大雪で心配されるのが車の立往生です。
雪道での車の立往生について、専門家が積み荷や車種などによって違いや特徴があるか実験した結果、荷物を積んでいないと立往生しやすく、2トントラックは3センチ余りの路面のくぼみで動けなくなるおそれがあることが分かりました。

大雪に伴って起きる車の立往生の多くは、雪道のくぼみから抜け出せなくなる「スタック」がきっかけとなり、後続の車が次々と足止めされることで拡大します。
福井大学と新潟大学の研究グループは、積み荷や車種などによって「スタック」のしやすさが変わるか調べるため、四輪駆動車と前輪駆動の小型の乗用車、後輪駆動の2トントラック、駆動輪がいずれも2列目にある大型トラックとトレーラーの5つの車種を用意し、再現した雪道のくぼみに駆動輪をセットして比較しました。
その結果、荷物を載せていない2トントラックは、くぼみの深さが3.3センチになると「スタック」するおそれがあり、今回の実験では最も立往生しやすかったということです。
次いで立往生しやすかったのが荷物を載せた2トントラックでくぼみの深さは5.2センチ、荷物を載せていない大型トラックで6.3センチ、荷物を載せていない小型の乗用車で7センチ、荷物を載せていないトレーラーで7.2センチなどと、荷物がない方が「スタック」しやすい傾向があることが分かりました。
荷物がないと立往生しやすくなることについて研究グループは、タイヤを地面に押しつける力が弱くなるためと分析しています。
一方、荷物を載せた2トントラックより荷物のない小型の乗用車の方が立往生しにくいのは、乗用車の駆動輪の上にエンジンがあり、その重さで地面を押しつける力が加わったためとみられています。
また、トレーラーは、駆動するタイヤと一緒に後ろのタイヤがくぼみにはまると「スタック」しやすく、荷物がない場合は3.6センチで立往生するおそれがあるということです。
このほか、タイヤの大きさとの関係を検証した結果、サイズが小さいほどくぼみを乗り越える角度が大きくなるため「スタック」しやすいことも分かりました。
福井大学の藤本明宏准教授は「どのくらいの雪の厚さで『スタック』するかが分かれば早期の通行止めなどの判断に役立つと考えている。ドライバーも交通情報を細かく確認し、立往生に巻き込まれないようにする努力が必要だ」と話しています。

大雪に伴う車の立往生は、毎年起きていて規模が大きくなったり影響が長引いたりすることもあり、大きな課題となっています。
このうちおととし1月には福井県内の北陸自動車道でおよそ1600台が立往生し、解消するまで2日以上かかりました。
東京の都心で10センチの積雪を観測した去年1月の大雪では、首都高速道路でおよそ10時間にわたって車が動けなくなりました。
さらにことし1月には新名神高速道路の三重県から滋賀県にかけて車が立往生し、最長で66キロにのぼりました。

また、国土交通省によりますと大規模な立往生の多くが12月から1月にかけて発生しているとして、注意を呼びかけています。
【立ち往生多くは12月〜1月】。
国土交通省によりますと、2013年から去年までの10年間に起きた大規模な立往生は合わせて20回にのぼりました。
時期別では、12月後半が7回、1月前半が6回と、12月から1月にかけて多く、国土交通省は雪への備えが不十分なことや雪道に慣れていないことが原因とみて、冬用タイヤの装着の徹底を呼びかけています。
【雪道のノーマルタイヤは法令違反】。
冬用タイヤをつけずに雪道を走ると立往生しやすいだけでなく、法令違反となり反則金の対象になります。
また、業務用の車が冬用タイヤをつけずに雪道で立往生を引き起こすと国の監査の対象となり、悪質な場合は行政処分を受ける可能性があります。
昨年度は車両の使用を停止する重い処分も出たということです。
【タイヤの溝確保を】。
一方、冬用タイヤを使用する際に注意が必要なのが溝の深さです。
溝が浅いと十分な機能を発揮できないからです。
タイヤの溝が半分まで減ると溝と溝の間にプラットホームと呼ばれる目印が見えるようになるため、こまめに確認するようにしてください。
【チェーンの携行も】。
立往生を防ぐために冬用タイヤにチェーンを巻くことも効果的です。
車に搭載するとともに路面の雪が深くなる前に早めに装着するようにしてください。
ただ、車のバンパーの高さまで雪が積もっている場合はチェーンもきかなくなるため、国土交通省は最新の気象情報を確認したうえで、大雪のおそれがある場合は運転のとりやめや経路の変更も検討してほしいとしています。