JR渋谷駅最後の大規模工事 18日と19日は山手線一部運休

渋谷の再開発に伴って18日から山手線のJR渋谷駅の線路やホームを上にずらす工事が行われます。
これは、駅の東西を結ぶ通路を改修するためのもので、JRによりますと、運休を伴う大規模工事は今回が最後だということです。
この影響で、山手線の大崎・池袋間は18日は外回りで、19日は内回りで終日運休します。

「100年に1度」とされる渋谷の再開発に伴い、JR渋谷駅でも改良工事が進められていて、18日からは1階にある駅の東西を結ぶ2本の通路を改修するための事前の工事が行われます。
現状の通路は傾斜があり、車いすの利用者や高齢者が通行しにくいほか、雨水がたまることもあるということで、今回の工事では床面を上げて傾斜をなくし、さらに通路内の広さを十分に確保するため、上を通る山手線の線路やホームを最大20センチ上にずらすということです。
この影響で、18日は終日、山手線の外回りが大崎駅と池袋駅の間で運休するほか、残る区間で通常の3割から4割ほどのおよそ10分間隔に減便され、内回りも池袋駅と大崎駅の間で通常の7割ほどのおよそ5分間隔に減便されます。
19日は終日、内回りが池袋駅と大崎駅の間で運休するほか、残る区間でおよそ10分間隔に減便され、外回りも大崎駅と池袋駅の間でおよそ5分間隔に減便されます。
18日と19日は、運休区間を並行して走る埼京線が増便されるほか、東京メトロや都営地下鉄などで振り替え輸送が行われるということです。
JR東日本によりますと、再開発での運休を伴う大規模工事は5段階で進められていて、今回が5段階目にあたり最後だということです。

今回の工事は渋谷駅の東西を結ぶ通路を改修するために行われます。
駅の1階部分を通り、明治通り側とハチ公広場側を結ぶ2本の通路は、現状、中央に向かってくぼむように傾斜があり、車いすの利用者や高齢者が通行しにくく、大雨の際に水がたまるという問題があります。
このため、通路の床面を上げて傾斜をなくすとともに、天井も上げて通路内の広さを十分、確保するということで、高さ2メートル60センチ余り、幅20メートル余りの通路が2本完成する予定です。
18日からは、こうした通路の改修のための事前の工事が行われ、通路内の空間を確保するため上を通る山手線の線路やホームを最大20センチ上にずらします。
通路の真上の部分にある線路やホームをずらすことで、その前後の線路も同じように上にずらす必要があり工事がより大規模になるということです。
また、今回は山手線のホームと今月完成予定の複合施設、「Shibuya Sakura Stage」をつなぐための工事も行われます。
山手線のホームをおよそ25メートル延長して電車の停車位置をずらし、空いた部分に施設側に向かう階段を新たに設置する予定です。

渋谷駅とその周辺では「100年に1度」と言われる大規模な再開発が進められています。
渋谷に最初の駅が開業したのは明治18年で、いまでは4つの鉄道会社の9路線が乗り入れています。
それぞれの会社が増改築を繰り返したため駅は複雑な構造になっていて、2002年に東急東横線の渋谷駅を地下化する検討が始まったのを皮切りに、行政とも連携した再開発事業が進められてきました。
再開発は、複雑になった駅の改良、駅や線路、道路による街の分断の解消、谷底にある街の浸水対策を重点に進められています。
これまで、東京メトロ銀座線の渋谷駅の移設工事や、路線間の乗り換えをスムーズにするための新しい改札やエスカレーターの整備が行われました。
また、「渋谷ヒカリエ」や「渋谷スクランブルスクエア」などの高層ビルが建設された際には街なかを行き来しやすくするための歩行者デッキが設けられたほかおよそ4000トンの雨水を一時的に貯水できる地下施設も整備されました。
9年前からはJR渋谷駅でも工事が進められ、埼京線のホームを移設する工事や、内回りと外回りで分かれていた山手線のホームを1本化する工事が行われました。
今回の工事は、駅の東西を結ぶ通路を改修し通行しやすくするためのもので、再開発での運休を伴う大規模工事は最後になるということです。

18日からの工事で山手線では全線で影響が出ることになりますが、外国人観光客が多い渋谷駅では独自の対応に乗り出しました。
渋谷駅では、ふだんみどりの窓口や改札で働く7人の駅員で特別のチームをつくり、工事期間中の外国人観光客への対応を検討してきました。
チームでは、混雑が予想される駅構内で日本語がわからない外国人観光客もスムーズに誘導できるよう放送などで流す英語の音声を事前に録音しました。
録音は「この付近には立ち止まらないでください」など、使用する場所に応じて14種類行いました。
また、運休の情報などを伝える英語の案内表示板も作成し、当日は駅員がこれを持って案内するということです。
チームに入った駅員の1人は「駅を利用してスクランブル交差点などを訪れる外国人観光客が急増しているのを感じています。しっかり準備して混乱のないように対応したいです」と話していました。

18日と19日は、いずれも、山手線の渋谷駅のホームはおよそ半分ずつが使えずホーム上の混雑が予想されることから、JR東日本が注意を呼びかけています。
また、ホーム上の混雑をきっかけに駅構内全体で人が滞留することも考えられ、場合によっては入場制限を行う可能性があるとしています。
このほか、4つある改札のうち最も狭い「ハチ公改札」の付近は、特に混み合うことが予想されるとして工事期間中は利用を避けてほしいとしています。

山手線の17日の終電後にはじまる工事に向け、JR渋谷駅では、準備が進められています。
山手線のレールの脇には、線路を上にずらすために使う砂利が入った袋や重機が用意されていました。
また、駅の構内では工事期間中の運休の情報がアナウンスや電光掲示板で繰り返し伝えられていました。
JR東日本建設工事部の伊東寛マネージャーは「古くて狭い部分もあったJR渋谷駅は、今後、広く快適な駅に生まれ変わりますが、あすからの工事でその骨格が固まります。あす・あさっては山手線が一部区間で運休し、ご迷惑をおかけします。埼京線や私鉄各線の利用をお願いしたいです」と話していました。