“文学の街”阿佐ヶ谷から本屋が消える 駅前の本屋が閉店発表

東京・杉並区のJR阿佐ヶ谷駅前で長年、営業してきた本屋が閉店を発表しました。
井伏鱒二や太宰治らにゆかりがある文学の街から新刊を扱う本屋がなくなることになり、惜しむ声が相次いでいます。

JR阿佐ヶ谷駅前にある本屋「書楽阿佐ヶ谷店」は、周辺で唯一の新刊を売る本屋でしたがおととい、来年1月に閉店することを発表しました。
この地域は井伏鱒二や太宰治ら文豪が、「阿佐ヶ谷会」と呼ばれる集まりを開くなど文学の街としても知られていて、本屋はタレントの阿佐ヶ谷姉妹も利用するなど地元の人に親しまれてきました。
常連客の50代の男性は「40年のつきあいでしたが、これで阿佐ヶ谷から本屋がなくなってしまうのは残念です。支えることができなくて申し訳ない気持ちもあります」と話すなど、惜しむ声が相次いでいます。
全国的に出版の売り上げは減少傾向で本屋の数もこの20年で半分近くに減っています。
この本屋も、黒字は維持しているものの売り上げはピーク時の半分を下回り、長期的な見通しが立たなくなったことも閉店の理由のひとつだということです。
石田充店長は「当たり前にあった環境がなくなってしまうことは非常に申し訳ない。並んでいる本を見て手に取るという一つの文化がなくなってしまうのは寂しい」と話していました。