柿沢未途衆院議員の地元事務所を捜索 東京地検特捜部

ことし4月に行われた東京・江東区の区長選挙をめぐる公職選挙法違反事件に関連して、東京地検特捜部は、前区長を支援したとされる柿沢未途前法務副大臣の地元事務所などの捜索に乗り出しました。
特捜部は、柿沢議員側から選挙前に現金を受け取った区議会議員や運動員などからも事情を聴いていて、選挙運動の実態解明を進めるものとみられます。

公職選挙法違反の疑いで捜索を受けたのは、前法務副大臣で自民党の柿沢未途衆議院議員(52)の東京・江東区の事務所です。
また、秘書や事務所関係者の自宅なども捜索を受けました。
ことし4月の江東区長選挙をめぐっては、15日辞職した木村弥生前区長の陣営が、選挙期間中、YouTubeに自身への投票を呼びかける有料広告を出していたとして、東京地検特捜部が公職選挙法違反の疑いで区長室などを捜索していて、地元選出の柿沢議員は、木村前区長に有料広告の利用を勧めた責任をとりたいとして、先月31日に法務副大臣を辞任していました。
関係者によりますと、保守分裂の構図となったこの区長選挙で、柿沢議員は自民党推薦の候補ではなく木村前区長を支援し、柿沢議員の秘書や後援者らが木村前区長の陣営を取り仕切っていたということです。
柿沢議員側は、選挙前に、複数の区議会議員に1万円から20万円の現金を渡していたことがわかっていて、これについて、「区議選の陣中見舞いとして渡したもので、買収ではない」と説明しています。
特捜部は、現金を受け取った区議や運動員などからも事情を聴いていて、選挙運動の実態解明を進めるものとみられます。

東京地検特捜部が、柿沢未途前法務副大臣の地元事務所や秘書の自宅などを捜索したことについて、地元の東京・江東区の区民からは「恥ずかしい」といった声が聞かれました。
80代の男性は「政治家は国民のために頑張らないといけないのに、自分のためにやっています。区民として本当に恥ずかしいです」と話していました。
40代の女性は「『下町の太陽』というキャッチコピーで、そういうイメージを持っていたので、がっかりしています」と話していました。
60代の女性は「江東区では過去に別の衆議院議員が捜索を受けていて、“またか”と感じます。政治家が国民目線に立っていないと感じます」と話していました。

江東区では、保守系の支持層をめぐって、区長を4期16年務めことし4月に亡くなった山崎孝明元区長、木村前区長の父親の木村勉元衆議院議員、柿沢未途衆議院議員の父親の柿沢弘治元外務大臣が勢力争いを繰り広げてきました。
事件の舞台となっていることし4月の区長選挙には、山崎元区長の息子の山崎一輝氏と、木村元衆議院議員の娘の木村弥生前区長が立候補し、激しい選挙戦を繰り広げました。
父親世代から続く因縁の対決で、関係者によりますと、柿沢氏は木村氏の支援にあたり、秘書が選挙事務所の運営を担うなどしたということです。
柿沢氏はなぜ木村氏を支援したのか。
関係者によりますと、さまざまな政党に所属してきた柿沢氏は、自民党への入党を希望していましたが、影響力を持っていた山崎元区長が反発したことなどから、2人の関係にはしこりがあったとされ、柿沢氏と木村氏が手を組み山崎氏に対立する構図ができあがったということです。
選挙の結果、「クリーンで開かれた区政」を訴えた木村氏が当選しました。
こうした江東区の複雑な政治事情を、“魔の三角地帯”とか“三国志”などと表す関係者もいます。