世界都市ランキング 東京8年連続3位 居住分野↑経済分野↓

世界の都市の総合力を採点したランキングが発表され、東京は8年連続で3位でした。
相対的な物価水準の低さで居住分野はランクを上げた一方、経済分野は賃金水準などでスコアを落とし、大きく後退しました。

民間のシンクタンク「都市戦略研究所」は2008年から世界の主要な都市の「総合力」を評価し、順位づけをしていて、ことしも48の都市を対象に「経済」、「研究・開発」、「文化・交流」、「居住」、「環境」、「交通・アクセス」の6分野についてあわせて70の指標で採点しました。
その結果、1位はロンドン、次いで2位にニューヨーク、3位に東京、4位にパリ、5位にシンガポールとトップ5は去年と同じでした。
東京の3位は8年連続です。
6分野のうち東京がランクを上げたのは「居住」で、為替変動の影響で生活コストが安い都市として住宅賃料水準の低さや物価水準の低さに加え、小売店や飲食店の多さといった生活利便性の高さが強みになりました。
また「交通・アクセス」もランクを上げ、公共交通機関の利用率などが高い順位を維持したほか、国内線・国際線の旅客数やタクシー・自転車での移動のしやすさでスコアを上げました。
一方、ランクを下げたのは「経済」と「環境」で、特に「経済」は過去最低の10位に下落しました。
具体的にはGDP=国内総生産の成長率が48都市中、47位であることに加え、優秀な人材の確保など例年の課題が改善されていないと指摘しています。
さらに、ことしは賃金水準の高さやワークプレースの充実度でもスコアを落としました。
こうした結果を踏まえ、東京には新たな産業創造が必要だとして、◇賃金水準の引き上げや◇スタートアップ支援などに力を入れるべきだと指摘しています。
また今回は、この6分野に加え、新たに「金融」分野も14の指標で評価され、東京はニューヨーク、ロンドンに次いで3位でした。
ランキング作成の責任者で、都市政策が専門の明治大学の市川宏雄名誉教授は「東京は6つの分野でバランスがとれているが、強みもない。例えば、午後6時以降で人々が楽しめるかどうかを調査すると、世界のトップはロンドンで、東京は27番目となっている。週末には地下鉄を終夜運行するなど、夜、楽しめる都市になれるかが東京の課題だ」と話していました。

世界の都市総合ランキングは6分野の70指標を2600点満点でスコア化し、都市の総合力をランクづけします。
評価には国際機関や各国政府のデータを用いて、専門家がデータの妥当性を検証した上で各指標の分析に活用しているということです。
あわせて、観光や都市空間に関する9つの指標については対象の48都市に住むおよそ9600人にアンケートを実施し、それを点数化して評価に使っています。