「緊急一時避難施設」活用 ミサイル飛来訓練 東京 練馬区

ミサイルが飛来した有事の際、適切な避難につなげようと、東京都が指定する「緊急一時避難施設」を活用した初めての避難訓練が6日、練馬区で行われました。

訓練は、練馬区の都営地下鉄練馬駅の周辺や区立平成つつじ公園など3か所が会場となり、60人の住民が参加しました。
このうち都営地下鉄練馬駅では、Jアラート=全国瞬時警報システムでミサイル発射の1報が伝えられると、参加した住民は、警察などに誘導されながら地上から地下1階の改札付近まで階段を使って避難しました。
そして、身を守るためにうずくまるなどして、万が一の事態の対応を確認していました。
都はミサイルの飛来などによる被害を軽減するため、都営地下鉄練馬駅などあわせて4258の施設を「緊急一時避難施設」として指定していて、こうした都の施設を活用した避難訓練は初めてです。
参加した60代の男性は「初めてミサイルの避難訓練に参加しました。ミサイルが到着するまでの短い時間にどのように行動すればいいか理解できました」と話していました。
都総合防災部の高橋睦身国民保護計画担当課長は「Jアラートが鳴ったときはなるべく早く頑丈な建物の中や地下に逃げてほしい。これからも訓練を重ねて啓発につなげていきたい」と話していました。

「緊急一時避難施設」とは、ミサイルの飛来などによる爆風などからの直接の被害を軽減するための施設です。
国は都道府県に対し、1人あたり0.825平方メートルを基準にコンクリート造りの堅ろうな建築物や、地下街などの地下施設を指定するよう求めています。
都はこれまでに公共施設を中心に4258の施設を指定し、都内の人口分を確保しているとしていますが、公共施設が少ない地域では不足しているのが現状です。
民間の施設についても、交渉を進めていますが、避難してきた人が死傷するなどした場合の責任の所在がはっきりしておらず、指定が進みづらいとしています。

「緊急一時避難施設」の指定について、協力の意向を示す民間の団体もあります。
「日本音楽会場協会」は、全国のライブハウスの経営者などでつくる一般社団法人です。
協会は、防音効果を高めるために多くが地下にあるライブハウスが避難施設に適していると考え、去年、都内のおよそ700店舗に対し、「緊急一時避難施設」として協力することについて意向調査を実施しました。
その結果、反対する店舗はなかったということで、協会は今月中にも都に対し、ライブハウスを「緊急一時避難施設」として利用できることを報告する予定だということです。
都によりますと、ライブハウスが「緊急一時避難施設」として指定されれば初めてだということです。
日本音楽会場協会の阿部健太郎会長は「ライブハウスというと騒いだり、暴れたりする人も多いというイメージがあると思うが、実際には親切な人たちなのでイメージのギャップを埋めたいという思いもあって協力の意向を示している。私たちの会場がいざというときに役に立ってほしい」と話していました。

ミサイルが飛来した万が一の事態に、自分自身で備えようという動きもあります。
シェルターを販売する会社などでつくる、茨城県つくば市のNPO法人「日本核シェルター協会」によりますと、ここ数年、シェルターに関する相談が多く寄せられているということです。
協会はことし5月、関心の高まりに応えようと、つくば市内にシェルターの展示会場を建設しました。
シェルターは実際と同様、地下およそ5メートルのところに設置されていて、爆風に耐えられるよう扉は厚さ20センチ、重さおよそ1トンとなっています。
広さは34.5平方メートルで7人が避難して2週間生存できるだけの水や食料、それに衛生用品などが備蓄されています。
化学物質やウイルスなどを除去できる換気装置が設置されているほか、がれきなどで覆われて入り口が利用できない場合も想定して、緊急用の脱出口も備えられています。
このシェルターはおよそ4500万円で、これよりもスペースが小さく最も安いものでも2500万円ほどかかりますが、これまでに、少なくとも2000ほどが売れているということです。
日本核シェルター協会の川嶋隆寛理事は「ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮のミサイルの影響もあり、日本でシェルターに関心を持ち始めている人は多くなっている。自助努力で命を守りたい人は参考にしてほしい」と話していました。