JR東日本 「多機能ロッカー」約1000か所に整備へ

JR東日本は、荷物の受け取りなどに使える多機能のロッカーを駅構内などおよそ1000か所に整備する計画を明らかにしました。
自宅の最寄り駅などで荷物を受け取ることで、宅配業者の負担となっている再配達の削減につなげる狙いがあります。

JR東日本は、31日から順次導入する多機能ロッカーを報道陣に公開しました。
これまで通り荷物を保管することに加え、今後はネット通販の荷物の受け取り場所として利用することができるようになります。
またロッカーに荷物を入れておけば宅配業者が受け取り指定の場所に届ける機能も備える予定です。
今後3年間で首都圏の駅などおよそ1000か所に整備する計画です。
ネット通販の普及を背景に宅配便の数が増え続ける一方、1割以上が再配達となっていて、トラックドライバーの人手不足が課題となるなか、大きな負担となっています。
JRとしては最寄り駅などで荷物を受け取れる環境を整えることで駅の利用者の利便性の向上を図るとともに宅配業者の負担軽減にもつなげたい考えです。
JR東日本スマートロジスティクスの市原康史社長は「ふだん、家にいることが少ない人でも時間をかけることなく帰宅途中に確実に荷物を受け取れる。再配達の削減に貢献したい」と話していました。

駅や街なかの多機能ロッカーは、全国各地で広がっています。
宅配大手のヤマト運輸が出資し、全国の駅やスーパーなどで多機能ロッカー「PUDO」を設置している会社は、2016年に多機能ロッカーのサービスを始めました。
時間を気にせずに複数の宅配事業者からの荷物を受け取れるほか、発送もできる利便性や、コロナ禍のいわゆる「巣ごもり需要」で通販の利用が急拡大したことなどもあって全国で設置が広がっています。
2016年に120台ほどだったのが、現在では全国でおよそ6800台に拡大、このうち首都圏の駅では400台ほど設置されています。
需要がさらに増えることを見据え多機能ロッカーの分野にはコインロッカーのメーカーやベンチャー企業なども次々に参入しています。
このうち西武ホールディングスは、ベンチャー企業と共同で、西武鉄道沿線の商業施設の商品を受け取れる、「BOPISTA」という多機能ロッカーのサービスを提供しています。
冷蔵のロッカーもあり、食品も受け取りやすいという特色を打ち出しています。
物流業界では、来年4月からトラックドライバーの時間外労働の規制強化に伴い、人手不足がいっそう深刻になる「2024年問題」が迫るなか、多機能ロッカーは、宅配事業者にとっては不在時の再配達を避けられるなど効率的な運送というメリットがあります。
また鉄道会社も、空きスペースを活用して駅や沿線の利便性向上を図ることができます。
「PUDO」を運営するPackcity Japanの湯山昭信営業課長は「再配達の負担軽減ということでまだまだ多機能ロッカーは需要があると考えています。処方箋医薬品やクリーニング品の受取などさらにサービス拡充を進めていきます」と話していました。