東京 江東区長 区議会最終日欠席 欠席届“捜査協力のため”

ことし4月に初当選した東京・江東区の木村弥生区長の陣営が区長選挙の期間中、動画投稿サイトに自身への投票を呼びかける有料広告を出していたとして東京地検特捜部は24日、公職選挙法違反の疑いで区役所の区長室などを捜索したほか、関係者によりますと区長からも任意で事情を聴きました。
江東区議会の定例会は25日最終日を迎えましたが、木村区長は欠席しました。

江東区議会の定例会は25日、最終日を迎え、午後1時から本会議が開会しました。
しかし、木村区長は議場に姿を見せず、冒頭、議長から区長の欠席の届け出が出されたことが報告されました。
これに続いて、大塚善彦副区長が「区議会および区民の皆さまに大変ご心配をおかけし誠に申し訳ありません」と陳謝しました。
区によりますと25日午前10時ごろ、議長宛に欠席届が提出され、理由については捜査協力のためと記されていたということです。
本会議はその後、区長不在のまま議案の採決などが行われ、定例会の最後に予定されていた区長による閉会のあいさつは副区長が代わって行いました。
議会の終了後、取材に応じた山本香代子議長は「こうした事態となり議会も重く受け止めています。区政運営に支障を来さないようにしてもらいたい。全容がわからないので今後を注視し議会としての責務を果たしていきたい」と話していました。
区によりますと、25日は午後6時半から市民と区長が直接意見を交わすタウンミーティングが予定されていましたが、中止になったということです。

今回の問題を受けて、木村弥生区長はことし8月、弁護士と記者会見を開きました。
それによりますと、ことし4月の区長選挙の選挙期間中、YouTubeに5日間にわたって木村氏の姿や『木村やよいに投票してください』という文字を組み合わせた6秒間の動画の有料広告を出していたということです。
公職選挙法は、選挙期間中にインターネット上の有料広告で候補者名などを表示して選挙活動を行うことを禁じています。
会見での説明では、ホームページなどを管理していた陣営のボランティアスタッフが、ネットでの選挙運動が効果的と考えて提案し、木村氏が「ちゃんとやってね」と承諾したとしています。
動画はホームページやSNSなどのためにそれまでに撮影していたもので、木村氏は法律にのっとった選挙活動になると認識していたとしています。
選挙後に、このスタッフが区長選に関する手引きを見返すなかで、公職選挙法に抵触したのではないかと気づき、調査にあたった弁護士も抵触の可能性があると指摘したとしています。
動画の再生回数は37万9000回余り、費用はおよそ14万円で木村氏のクレジットカードから支払われていたということです。
区長は当時、「確認やコミュニケーションが不足し監督不行き届きで申し訳なく思っている。より一層の法令順守に努めたい」と謝罪していました。

木村弥生区長は、江東区出身の58歳。
父親は、地元選出の自民党の元衆議院議員、木村勉氏で、みずからも看護師などを経て、平成26年の衆議院選挙の比例代表・北関東ブロックで自民党公認で初当選し、衆議院議員を2期務めました。
おととしの衆議院選挙で落選し、ことし1月、4月の江東区長選挙に立候補する意向を表明しました。
選挙の直前、江東区長を4期16年務め、東京23区の区長でつくる特別区長会の会長も務めていた山崎孝明氏が亡くなり、長男で元都議会議員の山崎一輝氏が立候補を表明し、新人4人で争う構図となりました。
自民党は山崎氏を推薦し、いずれも地元に大きな影響力を持つ政治家の子どもである木村氏と山崎氏が、いわゆる“保守分裂”の激しい選挙戦を繰り広げました。
選挙の結果、木村氏が7万5906票、得票率38.5%、山崎氏が6万2148票、得票率31.5%で、木村氏が初当選を果たしました。
選挙戦で、木村氏は、出産や子育て支援策、教育施策の拡充や、クリーンで開かれた区政などを訴えていました。
当選後の会見では、「新しい時代の扉を開きたいという区民の思いで当選できたと感じている。クリーンで区民に開かれていて、一人ひとり寄り添う区政、そしてこれまで政治の光が当たってこなかった人の声を受け止めて、そこに光を当てる温かい区政を目指したい」と抱負を述べました。