JR中央線快速 来年度末以降導入予定のグリーン車 車両公開

座って電車通勤をしたいなどという新たな需要を取り込もうと、JR東日本は、来年度末以降に中央線の快速電車にグリーン車を導入することになり新しい車両が公開されました。

18日東京・日野市の車両基地で公開されたのは、JR東日本の中央線の快速電車と直通する青梅線のすべての編成に導入予定のグリーン車の新しい車両です。
新しい車両は2階建てになっていて、すべての座席のひじ掛けにはコンセントが設置されているほかWi−Fiが無料で利用でき、一部の車両にはトイレや洗面台も設けられています。
また、折り返しの駅で行われる予定の車内清掃などが加わってもいまの運行本数を維持するため、ボタンひとつで座席の向きを変えられるほか、JR東日本のグリーン車としては初めて車両のドアを両開きにして乗客がスムーズに乗り降りできるよう幅を広くとっています。
導入後はグリーン車を2両追加して現在の10両編成から12両編成に増やして運行する予定で、追加料金を支払って利用できる座席が、2両であわせて180席設けられます。
追加料金は曜日や距離などによって変わり、平日の50キロまでの利用で事前購入した場合は、780円となっています。
運行開始は、車両の製造に必要な半導体不足などの影響でこれまで2度延期されていて、現在は来年度末以降としています。
JR東日本によりますと、少子高齢化やリモートワークの広がりで今後、鉄道需要の増加が見込みづらいなか、追加料金を支払っても確実に座れるグリーン車を利用したいという都市部の新たな需要を取り込み、収益力を強化したい狙いがあるということです。
JR東日本八王子支社の宇野弘之ユニットリーダーは「中央線のピークの時間帯は、コロナの感染拡大前より若干、利用が減っているが、通勤はもちろん、沿線には観光地も多いので日中や土日を含め着席のニーズは高いと考えている」と話していました。

関東の大手私鉄では相鉄以外はいずれも有料座席がある列車を運行していて、通勤や休日の外出などで使いやすい、有料座席のサービスも広がっています。
このうち東急電鉄はことし8月、東横線で渋谷を平日夜の7時台から9時台に出発して元町・中華街に向かう一部の急行列車で、500円の有料の指定席「Qシート」を導入しました。
2018年に東急は平日夜に大井町線から田園都市線に乗り入れる列車の一部でQシートを導入していて、これが拡大した形です。
京王電鉄は2018年に同社では初となる有料の座席指定列車「京王ライナー」を、新宿と京王八王子や橋本を結ぶ区間で運行を始めました。
料金は410円です。
また、2020年には東武鉄道と東京メトロが、東武伊勢崎線の久喜駅と東京メトロ日比谷線を結ぶ「THライナー」を運行させています。
さらに、通勤と帰宅時に◇京急は「モーニング・ウィング号」「イブニング・ウィング号」を、◇小田急は「モーニングウェイ号」「ホームウェイ号」、◇京成は「モーニングライナー」「イブニングライナー」をそれぞれ運行しています。
また◇西武は埼玉県内と東京都内、神奈川県内を結ぶ「S−TRAIN」を導入しています。
各社がこうした有料座席を導入する背景には利用客の「座りたい」というニーズに応えて利便性を向上させるとともに沿線人口の減少も見通して収益源を広げる狙いもあります。
こうした動きが今後も広がり、さらなる高付加価値化が進むのかが注目されています。