脚本家山田太一さんの未発表作見つかる 「男たちの旅路」など

脚本家山田太一さんの未発表作見つかる 「男たちの旅路」など

人気脚本家の山田太一さんが手がけたテレビドラマの名作「男たちの旅路」や「ふぞろいの林檎たち」などの映像化されなかった未発表のシナリオが見つかり、刊行されることになりました。

現在89歳の脚本家の山田太一さんは、脳出血の後遺症で療養中で、山田さんの作品を取材している文筆家の頭木弘樹さんが山田さんの自宅の書庫で未発表のシナリオを見つけました。
このうち、「オートバイ」という作品はNHKで放送され大反響を呼んだドラマシリーズ「男たちの旅路」のために1978年ごろに書かれたものです。
「男たちの旅路」は、特攻隊の生き残りの警備員を演じる鶴田浩二さんが若い同僚たちとぶつかりあいながら、社会問題に切り込むドラマです。
「オートバイ」では、団地でオートバイを乗り回して住民を困らせる若者たちに対し、警備員役の鶴田さんが「悪いことは悪い」と追い出そうとしますが、若い同僚に言い返され、世代間の溝が浮き彫りになります。
また、TBSで放送された連続ドラマ「ふぞろいの林檎たち」の続編のシナリオは、前編が「四十代ってなんですか?」、後編は「手元に光がありますか?」というタイトルで、初回で大学生だった登場人物たちが40代になった姿が描かれ、中井貴一さん演じる主人公がお見合いパーティーに出席するところから始まり、最終的には意外な人物と結ばれます。
山田太一さんの未発表のシナリオ集は20日に刊行される予定です。
山田さんの長女で演出家の宮本理江子さんは、「どの作品も父らしく、善と悪の間での心の揺れ動きを描いて、自分だったらどう感じるか視聴者に問いを投げかけている。父はもう高齢で新しい作品を作る状態にはないので、今回のシナリオを皆さんに楽しんでもらえるとうれしい」と話しています。