谷村新司さん死去 74歳 「冬の稲妻」や「昴」などヒット曲

「冬の稲妻」や「昴」など数々のヒット曲で知られ長年、歌謡界をけん引してきたシンガーソングライターの谷村新司さんが今月8日、亡くなりました。
74歳でした。

谷村新司さんは大阪府出身で、1972年にバンド「アリス」でデビューしました。
“チンペイさん”の愛称で親しまれ、堀内孝雄さんらとともに力強いボーカルで「チャンピオン」や「冬の稲妻」などヒット曲を次々と発表しました。
またシンガーソングライターとして「昴」など長く歌い継がれる名曲を生み出したほか、「いい日旅立ち」を山口百恵さんに提供するなど長年、日本の歌謡界を牽引してきました。
また、谷村さんは中国・上海にある音楽学院で教授を務めたこともあり、中国で人気の日本人歌手として知られていて、
2017年には上海で日中国交正常化45年を記念したコンサートを開いています。
代表曲の「昴」は中国語でもカバーされるなど広く親しまれているということです。
2015年には日本だけでなく広くアジアに受け入れられる
作品を数多く生み出し、芸術文化の発展に貢献したことが評価され紫綬褒章を受章しています。
事務所のホームページによりますと谷村さんは、ことし3月に腸炎のため手術を受け、予定されていたアリスの全国ツアーを延期して、療養していましたが、今月8日、亡くなりました。
葬儀は15日、近親者で執り行われたということで、事務所では後日、しのぶ場を設けたいとしています。

「アリス」のメンバーの堀内孝雄さんがコメントを発表しました。
このなかで「突然の別れに驚きを隠せません。来年のツアーに向けて回復に向かっていると伺っていただけに、とても残念です。僕にとってのチンペイさんは、50年来の親友であり、『アリス』のリーダーであり、そして良きライバルでした。学生時代に、『プロにならないか?一緒にアリスをやろう』と、誘ってくれたとき、心の底からうれしかった。チンペイさんが、あの時誘ってくれなかったら、今の僕はありません。ずっと一緒に音楽活動ができたことが幸せでした。また、いつか空のほとりで一緒にライブをやろうね。もうちょっと待っていてね、キンちゃんと、もう少しだけ頑張るね。心から、ありがとう。安らかに。ご冥福をお祈り申し上げます」とつづりました。

谷村新司さんの訃報を受けて「アリス」のメンバーの矢沢透さんがコメントを出しました。
このなかで矢沢さんは「東京に住む僕と大阪に住む谷村と、何の因果か運命の出会いか堀内を紹介され3人アリスとして歩み始めました。時にはいがみ合い、時には抱き合い幾多の苦難も喜びも共有し、無我夢中で駆け抜けたそして気が付けば51年という長きにわたって谷村と関わるとは・・・あの日からは想像もしませんでした」としています。
そして「若さの灰汁も抜け『これからは本当に音楽を楽しんでやっていこうね』と新しいアリスの始まりに胸躍らせていた矢先のことでした。谷村なら大丈夫、谷村ならきっと戻ってくる、根拠のない確信めいたものを感じておりました。でも谷村は戻ってきませんでした!もういないんです。悲しいというよりも悔しいんです。谷村はもう僕たちのみんなの心の中にしか住む場所がないのです。思い出せば必ず胸にやってきます、どうか谷村を忘れないで下さい。今まで谷村をアリスを応援してくださってありがとうございました」とつづっています。

谷村新司さんが亡くなったことについて、東京・新宿で聞きました。
70代の女性は「今、亡くなったと聞いてびっくりしました。いい歌を歌っていらっしゃったと思います。『昴』が好きでよく聞いていたので、ショックです」と話していました。
30代の女性は「また歌う姿を見られると思っていたので残念です。両親も好きで、母もよく口ずさんでいるのを聞いていたので、寂しいなと感じます」と話していました。
60代の男性は「私たちの世代はギターを弾き始めたとき、入門としてアリスの『チャンピオン』などを聞いていました。フォーク、ニューミュージックといろいろなミュージシャンがいましたが、世代の中でトップの人だったと思います」と話していました。
中国出身だという30代の男性は「本当に残念です。誰にでも好かれる曲、年齢層を問わず、国籍を問わず好かれる曲を作れる人だと思います。私は幼いときに日本に来ましたが、親の話では、中国でも人気で、有名だったということです。『昴』や『チャンピオン』が大好きで、カラオケで歌う人がいると盛り上がりました」と話していました。

谷村新司さんの訃報を受けて、シンガーソングライターで谷村さんと親交が深かったさだまさしさんは、自身のインスタグラムでコメントを発表しました。
さださんのコメントは次の通りです。
「いやいや、俺は信じない。何度か電話してもでないから、どっか旅にでも出たに決まってる。出会ったのは51年前。デビューしたてのアリスが長崎にキャンペーンでやって来た。以来、兄貴の如く仲良くしてもらった。甲子園や後楽園で野球の試合もした。静岡では一緒に飲み歩いた。長崎でも、武道館でも、あっちこっちでも一緒に歌った。最近ゆっくり会ってないけど、ホテルニューオータニ大阪のディナーショーは、いつも一日違いだったから、毎年必ず会えた。思い出したらキリがない。春に入院したとき慌てて電話したら『大丈夫、大したことないのよ』って言ってたじゃん。八月の終わりと九月の半ばに電話したけど、いつもなら必ず折り返してくれるのに返事がなかったけどね。一言も、なにも言わずにいなくなりましたって?いやいや、俺は信じない。うん。信じない」。

テレビ番組などで谷村新司さんのものまねを披露していたタレントの清水アキラさんは自身のブログで「爽やかな風、まっ青な空に雲、素晴らしい天気。そんな中、飛び込んだ谷村新司さんの訃報。力が抜けてしまった。ご冥福をお祈り致します」と心境をつづっています。

谷村新司さんの訃報を受け、シンガーソングライターのイルカさんは、旧ツイッターの「X」で「今まで沢山ご一緒に歌わせて頂いたチンペイさん!」と呼びかけ、イルカさんの亡き夫と「学生時代一緒にアメリカ、カナダ、メキシコでフォークを歌った仲間だったから。」としていつも「大丈夫?」と声をかけてくれた思い出を振り返りました。
そして、谷村さんの代表曲にちなんで「昴になられましたね。御冥福をお祈り致します」と追悼のコメントを投稿しました。

谷村新司さんとともに「サライ」などの楽曲を制作した歌手の加山雄三さんが「谷村新司君の訃報に接して」というタイトルで自身のウェブサイトでコメントを発表しました。
そのなかで加山さんは「谷村君が亡くなったこと、先ほど知りました。ショックと悲しみで正直混乱しています。ちんぺいとは『サライ』をはじめたくさんの思い出があります。ヤンチャーズ楽しかったよな。たくさんの場所で一緒に歌ったよな!陶芸に誘ってくれた兄弟子でもあるし、いつもちんぺいには『加山さん勝負じゃないんだから!』って言われてたっけ。ほんとの兄弟のように慕ってくれて一緒にいる時は本当にいつも楽しかったよ。その兄想いの弟が先に逝ってしまった今、気持ちをまとめてくれと言われても、彼に伝えたいことはたくさんあって、言い切れないよ。一言だけ彼に伝えるなら、やっぱり『ありがとう』この感謝の言葉しか見当たりません。永遠の『サライ』を谷村くんと共に…」とつづっています。
また、コメントには去年谷村さんと共演したテレビ番組の控え室で、一緒に撮影した写真も添えられています。

谷村新司さんは長年、音楽を通じて中国と日本の文化交流を行ってきたということで、日本中国友好協会の伊藤洋平事務局長はNHKの取材に対し、「ニュースで訃報を知り、驚きました。長年、日中の友好に尽力してこられた貴重な人材を失い、残念でなりません。先月、上海と北京で日本と中国の文化交流会が開かれた際にも谷村さんの「昴」が流れていました。中国での「昴」の知名度の高さを認識すると同時に谷村さんが築いた功績を改めて感じました」とコメントしています。

谷村新司さんの訃報を受け、母校の桃山学院大学がウェブサイトでコメントを掲載しました。
大学によりますと、谷村さんは在学中の1971年にアリスを結成したということで、2016年には名誉博士学位を授与するなどその後も交流があったということです。
コメントでは、「谷村新司氏は教育分野や社会奉仕分野などで幅広く活動され、2015年には紫綬褒章を受章されました。その精力的に活躍し続ける姿は、本学関係者の誇りでありました。この度のご逝去のお知らせを受け、誠に残念でなりません。心より霊魂の平安をお祈り申し上げます」としています。

谷村新司さんの訃報を受けて所属していた事務所がホームページにコメントを出しました。
コメントでは、「本人も回復に向けて頑張っておりましたので本当に残念に思います 葬儀は近親者のみにて10月15日に執り行いとても穏やかな顔で旅立ちました事をご報告申し上げます」としています。
そして去年、アリスが活動50年を迎えたことについて、「記念ライブを開催し、メンバーの堀内孝雄・矢沢透と共にここからリスタートして10年続けようと目標を立てて本人も楽しみにしておりましたが残念ながらその夢は叶わず満75年の生涯を終える事となりました 後日には皆で集まって故人を偲ぶ場を設けたいと思っております」としています。
また、「生前『歌と音楽は目に見えないからこそ海も空も超えていく』と沢山の国にも出掛けていきました 歌を創作し歌い伝える旅を続けてきた人生でした」と振り返り、「歌と音楽にピリオドはなく皆さまの心にいつまでも残る事を願って心よりの感謝を深く申し上げたいと存じます これまでに沢山の『愛』をいただき本当に有難うございました」とつづっています。