神宮外苑再開発 事業者“樹木伐採は年明け以降にずれ込む”

東京の明治神宮外苑の再開発について、事業者は、今月以降始めるとしていた樹木の伐採や移植が年明け以降にずれ込む予定となったことを明らかにしました。

東京・新宿区などにまたがる明治神宮外苑の再開発では高さ3メートル以上の樹木743本が伐採される計画で、事業者は今月以降、およそ50本の伐採とおよそ90本の移植を始める予定だとしていました。
これに対し、事業を認可し極力樹木を保全するよう求めている都は今月12日、伐採を始める前に具体的な保全方法の見直し案を示すよう事業者に要請しました。
こうしたなか、事業者の一つの三井不動産の担当者が29日都庁を訪れました。
その後、担当者が報道陣の取材に応じ、都の要請に応じることを明らかにしたうえで、見直し案を示すのは、ことしの年末から年明けになり伐採や移植を開始するのは年明け以降にずれ込む予定だと説明しました。
見直し案では、現在予定されている新しいラグビー場の設計を変更することなどで、伐採本数を減らすことを検討しているということです。
三井不動産の担当者は「都からの要請を真摯に受け止めた」と話していました。
また、ユネスコの諮問機関「イコモス」が今月に出した警告の文書のなかで再開発について「イチョウ並木の健全性に決定的な影響を与える」と指摘したことに対し、三井不動産は「確実に保全するために必要な計画の見直しに取り組んでいく」などとして反論しました。
そのうえで警告の文書について「イコモス独自の認識のもとで一方的に発信された」とする見解を示しました。

小池知事は都庁内で記者団に対し「事業者の対応はもう一度確認していきたいが、これまで『伐採し、どう移植するのかなどを都民にわかりやすく伝えてほしい』と言ってきた。それらに応えながら進めてもらっているということだ」と述べました。
そのうえで「神宮外苑単体で見るのではなく、内苑の緑をいかに守るかにもかかっているということを、明治神宮をはじめとする事業者側が、きょう意思表示されたものかと思う。こちらからの要望にしっかりと対応してもらうよう、今後ともお願いしたい」と述べました。