モロッコ地震 支援へ義援金募る 被害の解析なども

北アフリカのモロッコで起きた地震を受けて、現地にゆかりのある人たちで作る都内の団体では、被災地の支援に役立てようと義援金を募っています。

モロッコで勤務したことがある人などで作る「日本モロッコ協会」は、現地の歴史や文化を紹介する講演会を定期的に開くなどして、日本とモロッコの親善を深める活動を行っています。
今月8日の地震のあと、現地にいる人からはSNSなどを通じて被害の情報が連日、寄せられているということです。
協会では被災地の支援に役立てようと11日から会員を対象に義援金の受け付けを行っていて、近く協会のホームページを通じて、一般の人からの受け付けも始める予定だということです。
「日本モロッコ協会」の副会長で去年1月まで2年間モロッコ大使を務めた篠塚隆さんは「現地から送られてくる写真や動画を見ると本当にいたたまれない気持ちになります。一日も早い復興と、被災者のケアが行われるよう、協会でも支援していきたい」と話していました。

北アフリカのモロッコで8日に起きた強い地震について、衛星画像の解析結果をもとに被害の実態を詳細に伝えるデジタル地図を東京大学の研究者が作成し、ウェブサイトで公開しています。
震源に近いハウズ州のアミズミズでは山あいの集落にある建物すべてが崩落した地域があるなど、山岳地帯で大きな被害が出ていることが確認できます。
東京大学大学院の渡邉英徳教授は、今回の地震の発生前後の衛星画像を比較し、被害が確認できた場所や画像をデジタル地図に示してウェブサイトで公開しています。
このうち、震源に近いハウズ州のアミズミズでは、山あいの集落で建物がすべて崩落している様子が確認できた地域があるなど、山岳地帯で大きな被害が出ていることが分かるといいます。
一方、同じハウズ州アミズミズの平地やおよそ70キロ離れたモロッコ中部のマラケシュでは、一部の建物で天井や壁が崩れ落ちたりしていますが、衛星画像からは大きな被害は確認できないということです。
また、テントなど被災者の避難場所もいまのところ確認できていないということです。
渡邉教授は「モロッコは地震が多い地域ではなく、備えが十分でなかったために被災者への支援が行き届いていなかったり、命をとりとめた人たちのケアを行う場所が確保できない懸念もあり、今後、支援の状況を注視していく必要がある」と話していました。

モロッコで起きた地震の被害について、19年前の地震で現地を調査した建築工学の専門家は、建物の造りが当時からほとんど変わっていないとしたうえで、耐震性の低い建物が多いことが被害を拡大させたと指摘しています。
USGS=アメリカの地質調査所によりますと、現地時間の8日深夜、モロッコ中部でマグニチュード6.8の地震がありました。
モロッコでは2004年にも北部でマグニチュード6.5の地震が起きていて、このとき現地調査を行った建築工学が専門の、神奈川大学の荏本孝久名誉教授は、今回被災した建物の映像を見て「当時と建物の状況はほとんど変わっていない」と指摘しました。
今回の地震で特に被害が大きかった山岳地帯などでは跡形もなく壊れた建物が目立ちますが、荏本名誉教授は「アドベ」と呼ばれる日干しレンガを積み重ねて固めた古い造りで、耐震性が低いとしています。
一方、人が多く住む集落では倒壊を免れたものの壁が抜け落ちた建物が見られ、荏本名誉教授によりますとこれらには鉄筋コンクリートが使われているということです。
ただ、補強されているのは柱やはりだけで、石やレンガでできた壁は鉄筋コンクリートとつながっていないため、地震で崩れたとみています。
こうした被害は2004年の調査でも確認されたということで、荏本名誉教授は「大都市では近代的な建物も増えているが、郊外などでは耐震性の低い建物が多くそれが被害を拡大させた決定的な要因だ。政府や研究者、エンジニアなどが協力して建物の構造を改善しなければまた同じことが繰り返されてしまう」と話しています。