親子で“ヘアドネーション” ワークショップ 東京 目黒区

がんの治療などで髪の毛を失った人に自分の髪の毛を提供する「ヘアドネーション」という取り組みが、いま、広がりを見せています。
この仕組みをより多くの人に知ってもらおうと、22日、都内で、夏休み中の小学生の親子を対象にしたワークショップが開かれました。

この催しは、ヘアドネーションを募るヘアケアブランドが開いたもので、会場となった東京・目黒区の美容室には、小学生の親子10組が集まりました。
はじめに、医療用ウイッグを製作・販売するNPOが、がんの治療などで髪の毛が抜けてしまう人がいることや、ウィッグなどで見た目をケアすることの重要性などを説明したあと、人の髪の毛でつくるウイッグはより自然で、自分の髪の毛のようにパーマをかけたりアレンジを楽しめることなどのメリットを伝えました。
そして、寄付された髪がウイッグになる工程について、届いた髪を長さや色、状態に応じて手作業で仕分け、殺菌・消毒することや髪は折り返して植えるので半分の長さになること、ひとつつくるのに最低でも4、5人分の髪が必要になるなどと説明すると、子どもたちは真剣な表情で聞き入っていました。
続いて、25歳のときに乳がんの手術をした声優でタレントの矢方美紀さんが医療用ウイッグを使用していた経験を語りました。
矢方さんは、薬の影響で髪の毛が抜けるなど体の変化に驚いて落ち込んだときのことを振り返ったうえで、「医療用ウイッグをつけることで、ショートやロングヘアになったり髪の毛をアレンジしたりして、楽しむことができた」として、見た目のケアが心のケアにつながったと話していました。
さらに会場ではヘアドネーションのためのカットも披露されました。
この日は、必要とする人に役立ててほしいと、2年間、髪を伸ばし続けてきた中学1年生のりいささんがモデルとして登壇し、ヘアドネーションカットの経験が豊富な美容師に髪を切ってもらいました。
りいささんは、髪の毛がばらばらにならないよう、ゴムで5つほどの束に結んでもらったあと、寄付する髪の長さが寄付先の団体の基準の31センチ以上になることを確認していました。
りいささんの髪の毛にはさみが入ると、子どもたちは拍手を送っていました。
最後に、子どもたちは2つのグループに分かれて、実際に寄付された髪の仕分け作業を体験し、毛の長さを測ったり、色や手触りを確かめながら状態別に箱に分けたり、医療用ウイッグを試着して付け心地を確認していました。
参加した3年生の女の子は「仕分けを体験して、こうやってウイッグがつくられるんだと勉強になりました」と話していました。
女の子の母親は「ヘアドネーションが行きつけの美容室など身近な場所でもできるようになるとうれしいです」と話していました。
主催したファイントゥデイのブランド広報、赤阪裕実さんは「ヘアドネーションで髪を寄付したあと、実際にどうなっていくかわからないという声を聞くので、知る機会を提供することで、その思いをつなげたいです」と話していました。