29日に隅田川花火大会 4年ぶり開催 “混雑リスクに注意”

29日、4年ぶりに隅田川花火大会が行われ、会場周辺には短時間に95万人と想定される見物客が集中する見通しです。
周辺の道路を歩きながら見物することになるため転倒による事故の恐れもあるとして混雑時の人の流れに詳しい専門家は「両手を空けたり歩きやすい靴で出かけ、人の流れに逆らわずに安全に楽しんでほしい」と話しています。

東京の夏の風物詩の一つ、隅田川花火大会が29日、4年ぶりに行われ2万発を超える花火が打ち上げられます。
主催者によりますと95万人の人出が想定され、打ち上げ会場周辺では午後6時から最長で午後10時まで車の通行ができなくなります。
広いスペースが乏しいことなどから訪れた人たちは周辺の車道や橋の上を歩きながら花火を見物することになり、立ち止まって見ることは原則として禁止されます。
転倒したり、立ち止まったりすれば人が折り重なるように倒れる群集事故の発生が懸念されるほか、人が密集するため風通しが悪くなって熱がこもりやすくなるため、熱中症のリスクも高くなります。
混雑時の人の流れに詳しい東京大学の西成活裕教授は「歩きやすい靴を履いて両手を空けるスタイルで出かけることで立ち止まったり転倒したりするリスクを減らすことが求められる。夜間だからと油断せず小まめに水分補給するなど熱中症対策も欠かせない」と指摘しています。
そのうえで「人の流れに逆らわず警察官などの誘導に従って安全に楽しんでほしい」と話しています。

今回の隅田川花火大会では打ち上げ会場に近い隅田川にかかる吾妻橋を中心に台東区・墨田区・中央区にまたがるエリアは規制区域となっていて見物客が路上に立ち止まって花火を見ることはできません。
このエリアでは午後6時から最長で午後10時ごろまで車の通行ができなくなるため車道に出ることはできますが、人の密集を回避する目的で比較的大きな道路では主催者が決めた進行方向にしたがって歩きながら花火を見物することになります。
また、周辺の路地や比較的狭い道では立ち止まることはできますが、混雑具合によっては、警備の警察官などから移動を求められたり、入れなかったりすることもあります。
こうした対応は以前までの隅田川花火大会と同じですが、主催団体は「これまでの経験やノウハウがあり、新たな対応がなくとも安全な運営ができると考えている。4年ぶりの花火大会を安全に楽しんでもらえるよう万全を尽くしたい」と話しています。

先週に行われた東京・足立区の花火大会では過去最多となる74万人の見物客が訪れました。
午後7時40分ごろから最寄りの北千住駅に帰宅する客が集中し始めました。
主催団体では韓国・ソウルの繁華街で起きた群集事故を受けて2019年以前の花火大会より対策を強化して臨んでいて、駅周辺で混雑が起きることをあらかじめ想定し車道に見物客が滞留できるよう車を通行止めにする範囲を拡大するなど対策をとっていました。
これによって人の流れがコントロールされ警察官などが状況をみながら駅構内に誘導したということです。
混雑が緩和するまでにおよそ3時間かかりましたが、主催団体は駅前の高架や車道に人があふれ出ていたわけではなく安全な人の移動が実現できていたとしています。
主催団体の坂田光穂事務局長は「予想以上の人出があり、効果的な規制や対策をしなければ群集事故が起きたり人の滞留が長時間になったりするなど大変な状況になっていた可能性もある。事故なく終えることができてよかった」と話していました。