10年前のエレベーター事故 ボルト破断が原因 事故調査部会

10年前、東京・江東区の倉庫でエレベーターのかごが急上昇して昇降路と呼ばれる縦穴の最上部に衝突し、乗っていた男性2人が顔などの骨を折る大けがをした事故について、国の事故調査部会は過積載などによって劣化していたエレベーターのボルトの破断が原因だとする報告書をまとめ、点検や適切な利用の徹底などを業者に指導するよう国に意見しました。

10年前の9月9日、東京・江東区の5階建ての倉庫でエレベーターが急上昇して昇降路と呼ばれる縦穴の最上部に衝突し、乗っていた男性2人が天井にぶつかって顔や頭の骨を折る大けがをしました。
事故の調査を進めてきた国土交通省の事故調査部会は、エレベーターのかごの上昇と下降を制御するための「リーマボルト」と呼ばれる部品が破断したことでブレーキがきかなくなり、かごが急上昇したと推定されるとの報告書をまとめました。
リーマボルトは長期間にわたって力がかかったことによる疲労破壊と認められ、その原因について調査部会は定められた重さ以上の荷物を積み込む「過積載」が繰り返されていたことやこのエレベーターでは利用が想定されていないフォークリフトによる荷物の積み降ろしが行われていたためだと結論づけています。
報告書では国土交通省に対しフォークリフトの乗り入れに対応していないエレベーターについては、メーカーや点検業者がその旨を乗り場などに表示することや、過積載が疑われる場合は定期検査に加えて通常の保守点検の際にもかごを制御する部品の検査を点検業者が行うことを指導するよう意見しています。
国土交通省は意見に基づき、必要な対策を文書にまとめ点検業者などに呼びかけることにしています。