御嶽山噴火9年 遺族が犠牲者に祈り 現場へ初の立ち入りも

御嶽山噴火9年 遺族が犠牲者に祈り 現場へ初の立ち入りも

9年前の噴火で死者・行方不明者が63人にのぼった、長野と岐阜の県境にある御嶽山で23日、慰霊登山が行われ、遺族などが犠牲者に祈りをささげました。

御嶽山では、9年前の平成26年9月27日に起きた噴火で58人が死亡、5人が行方不明となり、「戦後最悪の火山災害」となりました。
多くの犠牲者が出た火口近くの尾根「八丁ダルミ」は立ち入り規制が続いていますが、シェルターの設置など安全対策が進んだことから、ふもとの長野県王滝村は今月29日に規制を解除する方針です。
23日の慰霊登山は、これを前に特別な許可のもと、遺族10人余りが「八丁ダルミ」に入って行い、家族が亡くなった場所に初めて入ることができた遺族もいて、手を合わせたり、花や好きだった物を供えたりして祈りをささげていました。
一緒に登山中に妻の玲子さんを亡くした、愛知県の丹羽隆文さん(69)は、「ずっと我慢していましたが、妻が亡くなった岩の前に行き、9年たって初めて涙が出ました。一緒に下山できずずっと心残りでしたが、きょうは、魂を連れて帰れます」と話していました。
息子とその婚約者を亡くした愛知県の所清和さん(61)は、「これまで、亡くなった場所に行けなかったので、つらく苦しかったです。これから2人の魂と一緒に帰ります」と話していました。