東京湾アクアライン 時間帯で料金変動 22日から試験導入へ

千葉県と神奈川県を結ぶ東京湾アクアラインでは、課題となっている交通渋滞を緩和するため、22日から時間帯によって通行料金を変動させる「ロードプライシング」が試験的に導入されます。

東京湾アクアラインの通行料金は、これまで普通車や大型車などの区分ごとに曜日や時間帯には関わらず一律で決まっていましたが、休日には買い物客などの車が集中し、激しい渋滞が課題になっていました。
この対策として国や千葉県などは、休日の混雑する時間帯に料金を上乗せするなどの「ロードプライシング」を、22日から来年3月まで試験的に導入することにしています。
具体的には、土日と祝日の千葉県から神奈川県に向かう上り線で、ETCを搭載したすべての車を対象に、午後1時から午後8時までは料金が50%値上げされ、午後8時から翌日の午前0時までは25%値下げされます。
例えば普通車の料金は通常800円ですが、高い時間帯は1200円に、安い時間帯には600円になります。
国や千葉県などは試験導入の効果を検証し、来年度以降、本格的に導入するかどうか検討することにしています。
千葉県の熊谷知事は20日の記者会見で、「特定の時間帯に集中している交通を少しでも分散させることで、より多くの方々に千葉県にお越しいただき、より長く県内に滞在していただけるものと期待している。幅広くデータを収集し、評価を行いたい」と述べました。

「東京湾アクアライン」は、千葉県木更津市と川崎市を結ぶ有料道路として平成9年に開通しました。
開通当初の普通車の通行料金は4000円でしたが、「高い」という声もあって徐々に値下げされました。
平成21年からは国と県が差額を負担する形で、ETCを利用する普通車の通行料金が800円に大幅に値下げされ、買い物やレジャーなどを目的に多くの車が利用するようになりました。
新型コロナの感染拡大で一時的に利用が落ち込んだものの、昨年度は過去最高の交通量となり、一日あたりの平均利用台数は初めて5万台を超えました。

木更津市の隣の君津市に本社がある運送会社は、「ロードプライシング」によって長年悩まされてきた渋滞が緩和されることを期待しつつも、コスト増を懸念しています。
大型トラックおよそ600台を保有する運送会社の「安房運輸」では、休日の午後も依頼を受けて生花などを運ぶため、一日に20台ほどが東京湾アクアラインを利用しています。
「ロードプライシング」の試験導入が始まる前の最後の週末となった今月16日の日曜日、東京湾アクアラインを利用する大型トラックを取材しました。
このトラックは、午後8時までに東京・江東区の配送拠点に到着する必要がありましたが、アクアラインの周辺で激しい渋滞が起きていたため、平日に運行するより2時間早く君津市を出発しました。
出発後、アクアラインの入り口の2キロほど手前から高速道路に入るとすぐ渋滞につかまり、アクアラインに入ってからも「海ほたる」のあたりまでノロノロ運転が続きました。
目的地に到着したのは出発からおよそ2時間半後で、平日より1時間多くかかり、ドライバーによりますと、休日の運行ではいつもこのような渋滞に悩まされているということです。
安房運輸の石川夕伎夫社長は「渋滞が緩和すれば仕事がしやすくなり、労働時間も短縮されるので期待したいが、燃料価格が高騰しているなか、通行料金が値上げされるとコスト増になり困る面もある。普通車の値上げ幅が400円で本当に効果があればいいが、厳しいのではないかと思う」と複雑な思いを述べました。

東京湾アクアラインの利用者が多く訪れる木更津市の大型商業施設の周辺では、「ロードプライシング」についてさまざまな声が聞かれました。
東京湾アクアラインを利用して都内から家族で買い物に訪れた女性は「いつもアクアラインを使ってますが都内への帰り道は渋滞で3時間ほどかかります。これからは日中に帰ると値上がりするのであれば、木更津に来る時間帯から考え直さないといけないですね」と話していました。
一方、都内から買い物に訪れた男性は「通行料金は安ければ安いほうがいいですが、多少は値段が上がってもお出かけする人はあまり気にしないと思います。混雑が減るんであればその方がいいかなと思います」と話していました。
友人のグループでドライブに来たという20代の女性は「値下がりする午後8時まであと少しなら、少しだけ待って料金が高い時間を避けると思います」と話していました。
一方で、同じグループの30代の女性は「料金が高くてもしょうがないと思って利用するかもしれないです。その分、渋滞で待つ時間が少ないのであればうれしいです」と話していました。

東京湾アクアラインでの「ロードプラシング」には、どの程度の効果が見込まれるのか。
「ロードプライシング」が渋滞対策として導入されるのは今回が全国で初めてですが、おととしの東京オリンピック・パラリンピックの期間中には、選手などが乗る大会の関係車両がスムーズに移動できるように、首都高速道路で導入された例があります。
期間中は公共交通機関や物流関係などの車を除いて、午前6時から午後10時までの時間帯で、通行料金に一律1000円を上乗せする一方、午前0時から4時までは料金を半額に割り引き、交通量全体の30%減少を目標にしました。
結果的に交通量の減少率は、平日は17%、休日は28%にとどまりましたが、大会の関係車両の移動はスムーズだったということです。
交通工学が専門の千葉工業大学の赤羽弘和教授は「オリンピックの際にターゲットにしたのは主に平日のマイカーで、休日の観光目的を中心としたアクアラインの交通とは性質が異なる。多少高いお金を払ってでも予定を優先する人がある程度はいると思われ、効果があるかどうか実施してみないとわからない」と指摘しました。
そのうえで、「すべての人たちにピークの時間帯を避けてもらう必要はなく、全体の1割か2割の車が夜間に移動するようになれば効果が見えてくると思う。あす以降の交通量のデータを分析し、効果を評価したうえで、必要に応じて試験導入中にも料金の値上げ幅の拡大や時間帯の見直しなどを検討するべきではないか」と話していました。