新型コロナ 墨田区 高齢者施設の感染 早期把握システム導入

新型コロナウイルスの5類への移行で、感染状況の細かい把握が難しくなるなか、重症化リスクの高い高齢者施設の感染状況を早期に把握するシステムを墨田区保健所が独自に導入しました。

墨田区保健所が導入したのは「高齢者施設感染症情報収集システム」で、先月から本格的に運用されています。
特に重症化リスクの高い高齢者施設について、早めに感染拡大の兆候をつかみ、クラスターの発生を未然に防ぐことが狙いです。
システムは、区内の11の高齢者施設とつながっていて、各施設には入所者や職員のうち新型コロナなどの感染症と診断された人や、発熱やせきなどの症状があった人の数を毎日入力してもらいます。
その結果、保健所がいち早く状況を把握して、感染拡大防止に向けた指導や職員の派遣などができるようにしました。
新型コロナウイルスの5類への移行に伴って、患者の発生情報がすぐには保健所に届かないことから、このシステムを使うことで、墨田区では施設の日々の感染状況に加え、各施設の情報を統合することで区内で流行している感染症の動向を把握することもできるということです。
墨田区保健所の杉山美奈子課長は「このシステムを入れることで発熱した人が1人の段階から把握できる。クラスターを早めに探知してリスクの高い高齢者施設で感謝者を減らしていくことにつなげていきたい」と話していました。
施設側にとっても、ほかの施設の状況がわかることで感染防止に向けた未然の対策を講じられるメリットがあるといいます。
システムを導入している介護老人保健施設では、日常的に入所者同士が近くの施設と行き来することがあり、入所者を通して感染症が広がるケースも想定されるため、システム上でほかの施設の流行状況をチェックすることで、施設内での注意喚起に活用しているということです。
施設の介護福祉士の緑川信孝さんは「100人以上の入所者がいますが、入力にかかる時間は多くても10分ほどで、大きな手間にはなっていません。最近では皮膚の疾患が地域で増えていることに気づけて、注意喚起ができたので、今後、新型コロナの感染が再び増えたときにも活用できると思います」と話していました。