五輪汚職事件 贈賄側 ADK前社長に有罪判決 東京地裁

五輪汚職事件 贈賄側 ADK前社長に有罪判決 東京地裁

東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に賄賂を渡した罪に問われた広告大手ADKホールディングスの前社長に対し、東京地方裁判所は「経営トップとして積極的に関わり、主導的な役割を果たした」として、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

ADKホールディングスの前社長、植野伸一被告(69)は東京大会のスポンサー契約などに関して便宜を図ってもらう目的で、組織委員会の元理事、高橋治之被告(79)におよそ1400万円の賄賂を渡した贈賄の罪に問われました。
裁判で植野前社長は起訴された内容は認めたうえで、違法性の認識は無かったと主張していました。
12日の判決で東京地方裁判所の友重雅裕裁判長は「贈収賄の可能性があるという法務部門の指摘を部下から報告されていたと考えられ、違法だと認識していた」と判断しました。
そのうえで、「自社の利益や実績を上げることにこだわって元理事との癒着を続けた。経営トップとして犯行に積極的に関わり、主導的な役割を果たした責任は重い」と指摘して懲役2年、執行猶予4年を言い渡しました。
判決のあと裁判長は「オリンピックという世界的なイベントの信頼を損ねたことは真摯に受け止めてほしい」と前社長に語りかけました。
ともに贈賄の罪に問われた元幹部2人は執行猶予のついた有罪判決が確定しています。

判決のあと、ADKホールディングスの植野伸一前社長は「否認すれば勾留が長期化するという刑事司法の厳しい現実を身をもって体感し、勾留されながら裁判で争うことは並みの精神力では現実的には非常に厳しいことを痛感した。争わずに早期に勾留から逃れる選択をしたのは私自身なので、判決は真摯に受け止めたい」とするコメントを弁護士を通じて出しました。