コロナ感染 自宅療養死で板橋区を提訴へ 適切な対応とらず

新型コロナウイルスに感染した男性が東京・板橋区の自宅で療養中に死亡したのは、区が血中の酸素飽和度が低いという報告を受けていたのに適切な対応をとらなかったためだとして、遺族が区に対しおよそ5800万円の損害賠償を求める訴えを起こすことになりました。

訴えを起こすのはおととし8月、新型コロナに感染し板橋区の自宅で療養中に肺炎で死亡した北端明さん(当時57)の妹で、兵庫県に住む女性です。
弁護士などによりますと、北端さんは1人暮らしで基礎疾患があり、自宅療養中に体調が悪化し、血中の酸素飽和度を測ったところ70%と低かったため区に報告しましたが、救急搬送など速やかに医療を受けるための対応はとられず、その後、亡くなったということです。
このため、区の対応に過失があったと主張して、およそ5800万円の損害賠償を求める訴えを近く、東京地方裁判所に起こすとしています。
弁護士によりますと、新型コロナの自宅療養中の死亡について行政の責任を問う裁判は初めてとみられるということです。
6日、記者会見した妹の久保田純子さんは「兄は必死にSOSを出していたのに区は受けとらなかった。区からの説明もほとんどないので、裁判を通して真実を知りたい」と話していました。
板橋区は「個人情報に関わる可能性がありコメントできない」としています。