電動キックボード 今月から新たなルールに 利便性や課題は

今月から新しいルールとなった電動キックボード。
最高速度や車体の大きさなどの一定の基準を満たしたものは16歳以上であれば運転免許がなくても乗ることができるようになりました。
新しい移動手段としての定着に向けて取り組みが進められている東京・多摩地域でユーザーの体験などから利便性や課題を見ていきます。

八王子市南大沢地区でカフェを営む田中麻衣さん(32)は自分の店の前に貸し出しポートができたことをきっかけに、食材の買い出しなどで週に2、3回電動キックボードを使っています。
歩いて10分ほど離れたスーパーとの間を徒歩で往復することもありましたが、周辺は坂道が少なくないうえ、重い荷物を持ち帰るときなどは特に不便さを感じていました。
使っているキックボードは乗り始めから20分まで150円、以降1分ごとに15円かかりますが、移動時間の短縮のメリットが大きいとして今後も使っていきたいと考えています。
田中さんは「坂道が多い地域では電動キックボードはとても有効だと思います」と話していました。
ただ新しいルールへの心配もあるといいます。
例えば、このタイプのキックボードの場合右折の際は自転車と同じように二段階で曲がる必要がありますが、ふだんクルマを運転する機会が多い田中さんはそれに対応できるか不安だといいます。
田中さんは「交通ルールが変わるのはユーザーにとっては大きいことなので、周知を徹底することと、技術を身につけられる機会を作ってもらいたい」と話していました。
一方、実際に危険な思いをしたユーザーもいます。
立川市に住む会社員の関野光一さん(35)は、自宅近くの駅前にある貸し出しポートからほぼ毎日通勤でキックボードを使っています。
走っているときの音が静かなためか、歩行者を後方から追い越そうとしたときに驚かれ、危険性を感じたことが何度もありました。
このため関野さんは歩いている人に近づきそうなときは必ず速度を落とし、できるだけ距離をとるよう心がけています。
関野さんは「自転車よりも便利さを感じるが、手軽なだけに乗る際には一人ひとりのモラルが問われると思う。ルールをしっかり守ってやさしい運転をしたい」と話してました。

今月1日から改正道路交通法の施行に伴って新たなルールとなった電動キックボード。
16歳以上なら運転免許なしで乗ることができようになったのは「特定小型原動機付自転車」という新たな区分です。
先月までは、各地でシェアリング事業者などが普及にむけた実証実験を行ってきました。
八王子市の南大沢地区でも新しい区分に該当する電動キックボードが貸し出されてきました。
新しいルールが適用された今月からはヘルメットの着用は自転車と同じく努力義務になりこのタイプのものは右折の際、必ず二段階で行わなければなりません。
交通違反はいわゆる「青切符」の対象となり、反則金の納付が求められます。