ヘルパンギーナ 1医療機関あたりの患者数 過去10年で最多

熱やせきなどかぜのような症状が出る「RSウイルス感染症」や発熱や口の中に水ぶくれができる「ヘルパンギーナ」など主に子どもで広がる感染症の流行が続いています。
このうちヘルパンギーナの1医療機関あたりの患者数は過去10年間で最も多くなったことが国立感染症研究所のまとめでわかりました。

「ヘルパンギーナ」は夏に患者が増えるウイルス性の感染症で、5歳以下の子どもがかかりやすく、発熱のほか、口の中に水ぶくれができたり、のどが痛んだりといった症状が出ます。
国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関で、先月25日までの1週間にヘルパンギーナと診断された患者は1万8176人、1医療機関あたりでは5.79人と過去10年間で最も多くなりました。
地域別では、宮城県が1医療機関あたり14人と最も多く、鹿児島県や静岡県でも10人を上回るなど、18の都府県で1医療機関あたりの患者数が警報レベルの「6」を上回っています。
また、熱やせきなどかぜのような症状が出る「RSウイルス感染症」と診断された患者は9936人で、1医療機関あたりでは3.16人と前の週の2.9人から増加しました。
去年の同じ時期は0.58人で、ことしは去年を大幅に上回るペースとなっています。
日本小児科医会で感染症対策にたずさわる峯眞人理事は「学校が夏休みに入るまで流行が続くと考えられる。子どもの体調に注意して、食事が取れないとかぐったりしているなどふだんと違う様子があればすぐに小児科の医師に相談してほしい」と話しています。

子どもの感染症が流行するなか、病気で保育所や学校に行けない子どもたちを預かる都内の病児保育施設では利用を希望する人が増えています。
東京・港区にある小児科の診療所に併設された病児保育施設は、定員が6人ですがヘルパンギーナやRSウイルスなどの子どもで2ヶ月近くの間、ほぼ連日予約が埋まっているといい、4日も午前中の段階で7人がキャンセル待ちの申し込みをしていました。
ただ、キャンセル待ちをしても預かることが出来ない場合もあり、5月はおよそ30人だったのが先月はおよそ90人と3倍に増加しています。
これまでは1回の予約で3日から4日程度子どもを預けることもできましたが、現在はなるべく多くの子どもを受け入れるために一回の予約で預かる期間を2日に制限しているということです。
3歳の男の子を預けにきた父親は「39度近くの高熱が出ているので預けに来たが、キャンセル待ちでなかなか予約が取りづらい状況だった。きのうは在宅で子どもを見ていたがほとんど仕事にならなかった。これ以上流行すると予約枠も限られているので大変だ」と話していました。
「チャイルドケアばんびぃに」の時田章史院長は「コロナ禍の感染対策でかぜなどにかからなかったために、一般的な感染症への免疫を持っていない子どもが増えたり、免疫が低下したりして、子どもが発熱するような感染症がはやっている。もうしばらくはこの状況が続くのではないか」と話していました。

東京・北区にあるクリニックでも、子どもを中心に感染する「ヘルパンギーナ」や「RSウイルス感染症」の患者が増えています。
ことしの5月ごろから今月にかけていずれの感染症も患者数が増えていて、例年の4倍から5倍ほどにのぼっているということです。
病院では通常一日に15人ほどの患者を診療していますが、受診希望者が相次いでいることから先月からは一日に30人ほどの診療をしているということです。
それでもキャンセル待ちの患者が発生しているほか、せき止めやぜんそくの薬が不足する状況が続いているということです。
「いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤博道院長は「RSウイルスやヘルパンギーナだけでなく手足口病などの患者も増えていて、大人も緊張感をもって、小さい子どもに感染させない行動をするよう心がけてほしいです。必要に応じてマスクを着用したり、手洗いうがいを十分にすることで感染症を予防し、症状がある場合には重症化する前に早めに受診してください」と訴えていました。