東京都内 幼い子どもの感染症患者増 都が予防の徹底呼びかけ

幼い子どもを中心に感染する「ヘルパンギーナ」と「RSウイルス感染症」の患者が都内で増えているとして、都は手洗いやうがいなど感染予防の徹底を呼びかけています。

ヘルパンギーナは幼い子どもがかかりやすく夏かぜの代表的なウイルス性の感染症で、38度を超える発熱や口やのどに水ぶくれができてのどが痛むのが特徴です。
都によりますと、ことしは例年よりも早く急増していて、今月11日までの1週間に報告された患者数は979人で1医療機関あたりでは3.75人と、警報の基準となる6人には達していないものの、前の週の1.5倍になっているということです。
また、ヘルパンギーナと同様に幼い子どもがかかりやすく、発熱や鼻水とせきの症状が特徴の「RSウイルス感染症」については1医療機関あたりの患者数が1.72人と前の週の1.2倍となっていて、去年よりも早いペースで患者数が増えているということです。
いずれも主な感染経路が飛まつや接触であることから、都は、手洗いやうがい、せきエチケットの徹底を呼びかけています。

東京・北区にある「いとう王子神谷内科外科クリニック」でも、5月後半から子どもを中心に感染する「ヘルパンギーナ」や「RSウイルス感染症」の患者が増えています。
このうち夏場を中心に流行するウイルス性の感染症で、38度を超える発熱や口の奥に水ぶくれができてのどが痛む症状が出るヘルパンギーナの患者は、去年はシーズン全体で数人程度でしたが、ことしは先月後半から患者が増え始め、最近は連日、患者が受診のために訪れているということです。
クリニックの伊藤博道院長は、ヘルパンギーナにかかった際の注意点として、「重症化リスクは高くないものの、食事を十分にとるのが難しくなるほどのどの痛みが強くなる場合があります。暑い時期なので脱水してぐったりするケースもあるので、子どもの様子を注意深く見て早めに水分を与えるなどの対応を心がけてほしい」と説明していました。
ヘルパンギーナの患者が増えている理由については、「新型コロナウイルスを含めた感染症対策が厳格に行われていた時の反動が出ている印象を受けます。この3年間で免疫力が低下したおそれがありそれが関係している可能性があると考えられます」と指摘しました。
また、ヘルパンギーナだけでなく、発熱やせきなどの症状が出る「RSウイルス感染症」などほかの感染症も増えている影響でせき止めなどの薬が不足するという医療面への影響が出ていると説明しました。
一方、ヘルパンギーナなどの感染対策としては、「換気と手指の消毒が重要です。エアコンをつける際にも換気は必要で、学校や保育園などでこうした対策を怠ると一気に広がるおそれがあります。手洗いとともに、家に帰った時は早めに風呂に入り、体を洗い流すことも重要です」と話していました。
そして、食事をしっかりとる、風呂に入り体を冷やさない、十分な睡眠をとるなどして免疫力や回復力を最大限に引き出すことが大切だと指摘していました。