夏休みの宿題での「生成AI」都教委が注意喚起の通知

ChatGPTなど文章や画像を自動的に作り出す生成AIについて、東京都教育委員会は、児童や生徒が夏休みの宿題でAIの回答をコピーして、そのまま提出させないことなど注意喚起を促す通知を都立学校に出していたことが分かりました。

ChatGPTなど生成AIをめぐっては普及が急速に進む一方、情報漏えいやプライバシーの侵害などのリスクも懸念されています。
こうした中、東京都教育委員会は、生成AIの取り扱いについて、都立学校あてに13日付けで、通知を出しました。
この中で学校教育では、児童や生徒がみずから考える力を育成することが重要だとしています。
その上で、夏休みの宿題を出す際には、生成AIの回答をコピーして、そのまま提出させないことやレポートを課題として出す際には生成AIに頼らず、授業中に教員が説明した内容を踏まえて書くよう注意喚起することが必要だとしています。
具体的に注意を促す例として、日記や読書感想文のほか、プログラミング、校内コンテスト用のポスターの作成などを挙げています。
都教育委員会は、今後、国から公表される予定のガイドラインなども踏まえて、新たな周知を出すことも検討しています。

東京都教育委員会はChatGPTなどの生成AIにいかに対応すべきか、ことし4月から9つの都立学校で聞き取りなどを行い、検討してきたということです。
ある学校では、1割ほどの生徒が生成AIを使っていて、都の教育委員会は普及が急速に進むことを想定し、学校側が児童や生徒に注意喚起すべき内容などを3枚の紙にまとめ13日、すべての都立学校に通知しました。
そのなかで、留意点として、ChatGPTは利用規約で「13歳未満は使用不可、18歳未満は保護者の許可が必要」とされていることから、小学生は使用できず、中高生は保護者の許可がないと使用できないと指摘しています。
また、読書感想文や課題に対する考察などでは、AIが書いた文章と人間が書いた文章を見分けるのは困難だとしたうえで、課題を出す側の工夫も必要になるとしています。
具体的には、レポートの課題を出す際には授業中に教員が説明した内容を踏まえて書くよう指示したり、探求活動においては引用や参考文献を明記するよう指導したりすることを求めています。
東京都教育庁の篠祐次・企画調整担当部長は「読書感想文であれば、AIの文章をそのままコピーするのではなく文章を参考に、一緒に考える方法もあるかもしれない。最新の技術を子どもたちに使わせないというのではなく、技術の特性を知ってもらったうえで、どう活用するかを家庭や学校で考えてほしい」と話していました。

夏休みの宿題の定番、読書感想文のコンクールを主催している東京・文京区の全国学校図書館協議会は、ChatGPTなどの生成AI対策を始めています。
ことしの応募要項のなかに、生成AIを利用して書いた読書感想文の提出を控えるよう「盗作や不適切な引用等があった場合、審査対象外になることがあります」という文言を追加したのです。
全国学校図書館協議会の設楽敬一理事長によりますと、生成AIを使用して作った読書感想文を確認したところ、本の内容と全く違う記述があるものが見られたということです。
一方、本によっては、読書感想文のなかに明らかな誤りがないものもあって、生成AIを使った感想文かどうかを完全に見抜くのは難しいと考えています。
設楽理事長は「本によっては、伝わりやすい文書構成になっているなどして適切な内容になっていた。また、同じ本で3つ読書感想文を作ってもらったが、それぞれ違う視点から書かれたものになっていて、生成AIを使ったかどうか見抜けないケースもある」と話していました。
生成AIが急速に普及していることを踏まえ、設楽理事長は、教育現場で適切な使用方法を教えることが大切だと考えていて、「本を読んでどう感じたか、その感動を伝える表現力を培うために読書感想文がある。ほかの力を借りるのではなく、自分で考えて自分で表現してほしい」と呼びかけていました。