大学生など対象 中小企業によるインターンシップの説明会

職場で仕事を体験するインターンシップを通じて企業への理解を深めてもらおうと、中小企業による大学生などを対象としたインターンシップの説明会が9日都内で開かれました。

この説明会は、全国の中小企業の経営者でつくる団体が開いたもので、全国のおよそ70の企業が参加しました。
会場内では企業の担当者が訪れた学生たちにどのような業務を行っているのか紹介したり、インターンシップの内容や期間を説明したりしていました。
参加した学生の1人は「さいたま市から参加しましたが、大阪や九州の情報も聞くことができて、ありがたかったです」と話していました。
また企業の担当者は「自社のインターンシップに興味をもってくれた学生もいた。本人がやりたいことと会社でいまやっていることは十分リンクするのではないかと伝えた」と話していました。
インターンシップをめぐっては政府が2025年春に卒業するいまの大学3年生からは一定の条件を満たした場合、企業が学生の情報を採用活動に活用することを可能としたことなどを受け、企業の間では内容や期間を見直す動きも出ています。
説明会を開いた中小企業家同友会全国協議会の川中英章共同求人委員長は「それぞれの企業価値をしっかり見せるため、インターンシップをきちんと提供できる会社にならなければならない。参加者にはぜひ全国の経営者の生の声を聞いてほしい」と話していました。

参加した企業のなかには大学3年生を対象としたインターンシップの内容を見直すなど、早い段階から学生の関心をひきつけようと取り組む企業もあります。
仙台市にある飲食事業やアミューズメント事業を手がける会社ではパートやアルバイトの人手不足が続くなか、正社員の新卒採用に力を入れています。
これまでは、人事担当者は通常業務との兼任でしたが、採用活動の早期化に対応するため、去年5月に専門の担当者を配置しました。
またインターンシップについては、政府によるルールの見直しなどを踏まえ、採用活動への活用を進めようと、今年度から大学3年生を対象にしたカリキュラムの充実に力を入れています。
これまではどの職種を希望する学生にも店舗での接客を中心とした一律のカリキュラムを実施していましたが、飲食事業の部門でパンやそばをつくる技術職のコースと、店舗の経営や管理を担うマネジメントのコースに分けることにしました。
研修の内容も、新たなレシピの開発や原価計算、同業他社の市場調査など、より実務的な体験ができるよう変更しました。
このほかこれまでは最短1日だった実施期間についても今年度からは5日間以上とする予定です。
「パラマウント」の粕川利史代表取締役は「ミスマッチをなくすことが一番大事なので、今後何をやりたいのか、研修を通じて見いだしてもらいたい。学生の大半が就職活動の中でインターンシップを経験しているなかで、選ばれるためには会社としていかに受け入れ体制をつくれるかが問われると思います」と話していました。

インターンシップのあり方は、経団連と大学のトップらでつくる協議会で2019年1月から議論されてきました。
このなかで、インターンシップは学生のキャリア形成を支援するものであって採用活動ではないとしながらも、一定の条件を満たすインターンシップにかぎっては学生の情報を採用活動に活用できるようにすべきだという議論が進みました。
これらを踏まえ政府は、2025年春に卒業するいまの大学3年生からインターンシップをめぐるルールを見直しました。
具体的には期間が5日以上で、その半分を超える日数を職場での就業体験にあてていることや、社員が学生を指導し、終了後にフィードバックを行うことなどを条件に、インターンシップに参加した学生の情報を企業が採用活動のための判断材料として活用できるとしています。
具体的な活用のしかたとしては、例えば政府のルールで開始とされる6月以降に採用面接を行う場合、インターンシップで得た情報をもとに選考のプロセスを一部免除することなどができるとしています。
また、政府はことし4月、2026年春に卒業するいまの大学2年生から、企業側が2週間以上のインターンシップによって専門性が高いと判断した人材については、面接の開始時期を3か月ほど前倒しして春休み以降とする方針を示しました。
こうした動きに伴い、企業の間ではインターンシップの内容や期間を見直す動きも出ています。