体力アップへ 保育所などの学びに「鬼ごっこ」 千葉 富里市

コロナ禍で子どもたちが外で遊ぶ機会が少なくなっているとして、千葉県富里市は保育所や幼稚園での学びに「鬼ごっこ」を本格的に取り入れて体力づくりにつなげる取り組みを始めました。

この取り組みは、富里市が先月から市内の保育所や幼稚園などあわせて4か所でモデル事業として始めました。
このうち市内の認定こども園で行われた初めての研修には、4歳から6歳の子どもたちおよそ50人と先生が参加しました。
“専門家”として講師に招かれたのは、鬼ごっこを通じた健康づくりなどに取り組む団体のメンバーで、子どもたちは単純な追いかけっことは違う、ゲーム性のある鬼ごっこを教わりました。
4歳児のクラスで行われた「ライン鬼」と呼ばれる鬼ごっこは園庭に引いたライン上にいる複数の鬼をかいくぐってゴールを目指す遊びで、限られたスペースでも楽しむことができます。
子どもたちは走りながらフェイントをかけて鬼をかわし、周りの子どもたちも大きな声で応援していました。
また5歳児のクラスで行われた「スポーツ鬼ごっこ」は、2つのチームに分かれて相手の陣地にある宝に見立てた品物を取り合う鬼ごっこです。
チームの中には、相手の宝を取りに行く役割と自分の陣地にある宝を守る役割があるため、チームワークやコミュニケーションが必要になります。
子どもたちは作戦会議を開いて「私が守る」「僕が取りに行く」と意見を出し合い、いざ始まると相手の死角をついて宝を取りにいったり体を左右に動かしながら懸命に宝を守ろうとしたりする姿がみられました。
5歳の女の子は「楽しかった。いっぱいタッチできました。これからもやってみたい」と話していました。
講師を務めた「鬼ごっこ協会」の羽崎貴雄理事は「ゲーム性がある鬼ごっこは、すべての子どもが運動能力にかかわらず参加できるし、運動量も確保できます。コミュニケーション能力や判断力が身につくことも期待できます」と話していました。
富里市は鬼ごっこを通じた体力づくりを市の事業としておよそ40万円の予算をつけて取り入れましたが、この背景には子どもたちの体力低下への懸念があります。
令和4年度の市内の子どもたちの体力テストの数値は、小学6年生では男女ともに8種目中7種目で県平均を下回りました。
この傾向は4年前からみられ、市は、コロナ禍で子どもたちが外で遊ぶ機会が少なくなったことも影響しているとして、運動機能が発達する幼少期に「鬼ごっこ」で遊びながら体力をつけてもらいたいと考えています。
市は今後、年間を通じて子どもたちの体力を計測して鬼ごっこの効果を検証するとともに、この取り組みを市内全域の保育所や幼稚園、それに認定こども園などに広げていくことにしています。
富里市の藤田明美健康福祉部長は「鬼ごっこは体力だけではなく空間認知能力や人と人とのつながりなど非常に多くのことを学べます。子どもたちが元気になりまち全体が活気づくことも期待したいです」と話していました。