歯科矯正トラブル 全国の女性など150人余が集団提訴

実質無料で歯科矯正ができるとしてモニターの契約をしたのに高額の費用を払わされたうえ、治療を中断され歯並びが悪くなるなどの健康被害を負ったと主張して全国各地の女性など150人余りが歯科医院などにあわせて2億6000万円余りの賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのは、東京や福岡などで展開する歯科医院に通っていた女性など150人余りで、6日裁判所に訴状を提出したあと、記者会見しました。
弁護士などによりますと、女性などは3年前から去年にかけて、「歯科医院のモニターになれば報酬を支払うので、マウスピースを使った歯科矯正を実質無料で行える」と誘われて都内の会社と契約を結んだということです。
しかし、報酬の支払いが滞り、多額のローンを抱えることになったうえ、ほとんどの歯科医院が閉院して治療が中断されたため、かえって歯並びが悪くなるなどの被害が生じたと主張して、歯科医院や契約を結んだ会社などにあわせて2億6000万円余りの賠償を求めています。
マウスピースを使った歯科矯正はマスクで口元が隠れていたコロナ禍に目立たず矯正ができるとして若い女性たちを中心に人気が高まりました。
この歯科医院などをめぐっては同様の被害を訴える患者たちがことし1月にも東京地裁に訴えを起こしていて、原告の数はあわせて300人余りにのぼっています。
原告の20代の女性は「矯正のために歯を削られ今も歯がしみる状態で、これからどうなるのか不安だ。1人では何も出来ないと思っていたが、ほかにも同じような被害を受けている人がいることを知り、自分も訴訟に参加することにした」と話していました。
患者と契約を結んだ会社「THE GRANSHIELD」は、弁護士を通じて「訴状はまだ送達されておらず、コメントできる状況にない」としています。
また、ともに被告となっている、歯科医院「Dental Office X」で歯科矯正を担当していたとされる伊藤剛秀歯科医師はNHKのこれまでの取材に対し「モニター制度を始めると聞いた時には反対したし、その後は歯科医院と関わりを持たなくなったので、自分は関係ない」と話しています。