長野4人殺害事件 殺傷能力高い「スラッグ弾」を使用したか

長野県中野市で4人が殺害された事件で、逮捕された容疑者は「スラッグ弾」と呼ばれる殺傷能力の高い弾を使って警察官2人に発砲したとみられることが捜査関係者への取材でわかりました。
容疑者は「射殺されると思ったので駆けつけた警察官も殺した」などとも供述していて、警察は強い殺意があったとみて調べています。

今月25日、中野市江部で近くに住む村上幸枝さん(66)と、竹内靖子さん(70)が刃物で刺され、その後、通報を受けて駆けつけた中野警察署の玉井良樹警部補(46)と池内卓夫巡査部長(61)が猟銃で撃たれ死亡しました。
警察はこのうち池内巡査部長に対する殺人の疑いで農業の青木政憲容疑者(31)を逮捕し、ほかの3人を殺害した疑いでも捜査を進めることにしています。
その後の調べで、容疑者は「スラッグ弾」と呼ばれる殺傷能力の高い弾を使って警察官2人に発砲したとみられることが捜査関係者への取材でわかりました。
スラッグ弾は熊やいのししを狩る時などに使われるもので、容疑者は運転席の窓に銃口を突きつけていたという目撃証言があり、至近距離から運転席にいた池内巡査部長、助手席にいた玉井警部補に発砲したとみられるということです。
容疑者は「射殺されると思ったので駆けつけた警察官も殺した」などとも供述していて、警察は強い殺意があったとみて調べています。

警察によりますと「スラッグ弾」とは散弾銃などの猟銃に装填する弾の種類の一つで小さな弾が広い範囲に飛び散る「散弾」とは異なり、1発の弾丸だけが飛ぶ威力の強い弾だということです。
一般的に散弾が鳥などの小さな獲物に使用されるのに対し、スラッグ弾は熊やいのししなどの動物に狙いを定めて撃つ際に使われます。
スラッグ弾は2007年に長崎県佐世保市のスポーツクラブで起きた散弾銃の乱射事件で使われ、このときは2人が死亡したほか、去年1月、埼玉県ふじみ野市で医師が撃たれて殺害された立てこもり事件でも使われたということです。

中野市で警察官2人が猟銃で撃たれるなど4人が殺害された事件を受け、地元の猟友会が銃声に不安を感じる住民に配慮し当面、有害鳥の駆除活動を自粛することになりました。
中野市猟友会や市で構成する協議会は、今回の事件を受けて27日緊急の役員会を開き、毎年20回ほど農地周辺で実施してきた猟銃を使った有害鳥の駆除活動を当面自粛することを決めたということです。
殺人の疑いで逮捕された青木政憲容疑者(31)はこの猟友会の所属ではありませんが、事件を受けて銃声に不安を感じる住民に配慮するためだとしています。
協議会の事務局は「有害鳥駆除は地域にとって必要な活動であるが事件があったのでやむを得ない」と話していて、活動を再開する時期は未定だということです。