“議員からハラスメント”職員150人超 千葉 柏市議会調査

千葉県柏市の市議会が、議員による市職員へのハラスメント行為について調査した結果、150人を上回る職員がパワハラやセクハラを受けたと訴えていることがわかりました。

柏市議会は、議員によるハラスメント行為防止のために去年検討会を設置し、先月市職員に対して議員からハラスメント行為を受けたことがあるか、いずれも複数回答でアンケート調査を行いました。
その結果、回答した1827人のうち、157人が「受けたことがある」、316人が「見たことがある」と答えました。
最も多かったのが、ささいなミスを長時間叱責されたり、意に沿わない対応をどう喝されたりするといったパワハラ行為が169人、次いで彼氏や彼女がいるのかと聞かれたり、早く結婚しろと言われたりするなどして苦痛を感じるセクハラ行為が154人でした。
ハラスメントを受けた際の対応について、「何もしなかった」が252人で最も多く、その理由については「相談しても解決しないと思った」が177人、「業務に支障がでると思った」が127人、「我慢した方がいいと思った」が79人、「職場での立場が悪くなりそう」が48人でした。
市議会は、調査結果などをもとにハラスメント防止のための条例案を策定し、来月の定例会に提出する予定です。

柏市議会が設置した「ハラスメント防止のための条例制定に向けた検討会」で、座長を務める古川隆史市議会議員は「ハラスメントを受けたという人数が多いだけでなく、いまだにこんなにあるということが改めて浮き彫りになった。本当に反省する結果だと思います」としています。
そのうえで、来月の定例会に提出する予定のハラスメント防止の条例案については「着実に取り組みを積み上げていかないと議会全体の信用が失われると思う。議会全体で自分の事としてとらえていかないといけない。ハラスメントの相談体制もなかったので窓口を明確にし、事例に合わせて対応できる条例にしていきたい」と話しました。

柏市議会の調査結果について、千葉県の熊谷知事は25日の定例会見で、「当然、許されることではないが、議員は有権者に託された役割や責務、それに公約などを実現しようという思いのあまりに、さまざまなハラスメントに至る背景があると思う。職員側は『やりすごしたほうがいいのでは』と思ってしまいやすい関係だと思うので、議会側からしっかりとハラスメントが起きないような取り組みの呼びかけや意識の共有が必要だ」と話しています。

柏市議会の調査結果について、地方議会に詳しい椙山女学園大学の大木直子講師は「議会が調査を行って数字を出したことには非常に意味がある。柏市だけにとどまらず、全国の人たちにとって自分の自治体はどうなのだろうかと、監視の目が生まれるきっかけになるのでは」と評価しています。
議員によるハラスメントの背景については、「選挙で選ばれたことを名誉に感じ、それが行き過ぎてしまうと自分の立場を利用して強く出てしまうことがあるのではないだろうか」と指摘しています。
そのうえで再発防止策として、「民間企業と同じで、密室で1対1になることを避けたり、複数で対応したりするといった対策が必要だと思う。今回のように、調査結果を公表したり名前を公表したりすることもハラスメントの抑止につながるのではないか」と話していました。