伊豆諸島 新島・神津島近海で地震活動続く 強い揺れに注意

22日、震度5弱の揺れを観測する地震が発生した伊豆諸島の新島・神津島近海では23日も地震活動が続いていて、気象庁は、当分の間強い揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

22日午後5時前、伊豆諸島の新島・神津島近海を震源とするマグニチュード5.3の地震が発生し、利島で震度5弱、新島で震度4を観測しました。
気象庁によりますと、新島・神津島近海では22日の昼前から地震が相次いでいて、22日は震度1以上の揺れを観測した地震の回数が29回にのぼりました。
さらに23日も地震活動が続き、午前4時半すぎに利島で震度3を観測するなど、揺れを感じる地震が午後5時までに15回発生しています。
気象庁はこの地域では過去にも大きな地震が起きたあとに同じ程度の地震が発生したことがあるとして、揺れの強かった地域では、当分の間、強い揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。

22日夜の地震で震度4の揺れを観測し、その後も揺れが続いている伊豆諸島の新島の博物館では今後の揺れに備え、展示物の位置を変えるなどの対応がとられています。
新島村博物館には島内などから出土した土器などの文化財のほか島のかつての暮らしぶりを伝える展示がありますが、今後の揺れに備え、土器や銅像などは展示台から床に下ろす措置を取りました。
また、東京オリンピック・パラリンピックのボランティアのユニフォームがマネキンに着せる形で展示されていましたが、激しい揺れで転倒すると、見学者にぶつかるおそれもあるとしてマネキンごと床に横にされていました。
博物館は、今後の地震活動の状況をみながら、1週間から10日程度はこの措置を続けるということです。
新島村博物館の開田萌弘主任は「ふだん、一度揺れただけではこのような措置はしませんが、今回は、地震が続いているので安全のために対応しました」と話していました。
新島村によりますとこれまでのところ、地震によるけが人や建物被害は確認されていないということです。
今後も地震が続くおそれがあるため防災行政無線で住民に注意を呼びかけています。

新島・神津島近海で相次いでいる地震について、地殻変動が専門で京都大学防災研究所の西村卓也教授は「伊豆諸島から伊豆半島にかけてはフィリピン海プレートが本州に衝突し、ひずみがたまりやすい場所で過去にも大きな地震が起きている。特に2000年は、三宅島の噴火活動をきっかけに地震活動が続いたが今回の震源域は、いわばその北端にあたる」と指摘しました。
2000年の地震活動は6月以降、およそ半年にわたって活動が続き震度6弱の揺れを観測する地震が1か月に3度も起きています。
今後の見通しについて西村教授は「火山活動に伴う地震活動である場合は長く続く傾向があるが現段階では見通しがついておらず、まだその兆候はない。地震活動に加えて地殻変動のデータも分析する必要がある」と述べました。
一方、今月になって最大震度5弱以上の揺れを観測する地震は、能登半島沖の地震や千葉県南部の地震、トカラ列島近海の地震と、きのうの地震を含め、5回にのぼっています。
これについて西村教授は「確かに最近、地震が相次いでいるが、相互に震源は離れており、メカニズムも違うので関連性は見いだしにくい。日本列島はプレートが押し合う場所に位置しているので各地の活動が見かけ上、連動しているように見えることがある」と指摘しました。
そのうえで「伊豆諸島での地震については、家具の固定や高いところにものを置かないなど強い揺れでけがをしないよう、備えて頂きたい。また、都市部に住んでいる人も備蓄や連絡手段など、大きな地震に対する備えを再確認してほしい」と話しています。