“障害者雇用が十分でなく改善なし”企業5社公表 厚生労働省

法律で義務づけられる障害者の雇用が十分でなく、国が勧告したにも関わらず改善が見られないとして、厚生労働省は企業5社を公表しました。

障害者雇用促進法では企業に対し一定以上の割合で障害者を雇用するよう義務づけていて、現在は2.3%以上となっています。
障害者の雇用が十分でない企業に対し、厚生労働省は達成に向けた計画の作成を求め、適切に実施するよう勧告しますが従わない場合、企業名を公表できるとしていて、きょう、法律に基づいて5社を公表しました。
このうち、東京の不動産仲介会社、「タウンハウジング」と東京のビルメンテナンス会社「シーレックス」、広島の雑貨販売会社「サンポークリエイト」の3社は、おととし12月に同じ理由で公表されていましたが、その後も改善が見られないとして「再公表」となりました。
ほかに公表された2社は東京のスポーツ関連商品販売「ボードライダーズジャパン」横浜の宝飾品販売「ベリテ」でした。
各社は「真摯に受け止め障害者雇用の改善に向けて取り組みたい」などとしています。
厚生労働省によりますと障害者雇用率を達成している企業の割合は去年6月時点で48.3%と半数以下にとどまっています。
障害者雇用率は3年後には2.7%に引き上げられることになっていて厚生労働省は、引き続き、改善指導に取り組むとともに企業への助成金を拡充するなどして対応を促すことにしています。

企業の障害者雇用の支援にあたる障害者就業・生活支援センターWEL’S TOKYOの堀江美里センター長は、障害者雇用に消極的と見られる企業があることについて、新たな対策が必要だとして、「障害者雇用に力を入れている企業の障害者の定着率を公表していくことや、障害者の側からも意見をもらい会社を評価してもらうような制度を進めてもいいのではないか」と指摘しています。
また、企業では障害者にどんな業務に取り組んでもらうかが課題になっているとして「『障害者はこうした仕事しかできないだろう』という考えで、最初から決まった事務作業などにあてるのには限界がある。個人の能力に合わせて『これはできるのでは』と考え本来業務に試験的に取り組んでもらうなどして、できる仕事を増やしていくことが必要だ」と話していました。