地下鉄サリン事件から28年 犠牲者を追悼 東京 霞ケ関駅

14人が死亡し、およそ6300人が被害に遭ったオウム真理教による「地下鉄サリン事件」から20日で28年です。
現場のひとつ、東京の地下鉄・霞ケ関駅では遺族などが犠牲者を追悼しました。

28年前の平成7年3月20日、通勤客などが無差別に狙われた地下鉄サリン事件では、都内を走る3つの路線に猛毒のサリンがまかれ、14人が死亡、およそ6300人が被害に遭いました。
東京・千代田区の霞ケ関駅では、発生時刻とほぼ同じ午前8時に職員が黙とうをささげ、駅の構内に設けられた献花台には遺族や利用客などが訪れて花を供えて犠牲者をしのびました。
霞ケ関駅の助役だった夫を亡くした、高橋シズヱさんも献花し、「きょうは28年前と同じ月曜日で、『事件の日もきょうのような日だったのかもしれない』と思いながら電車で来ました」と話しました。
また、旧統一教会などの信者を親に持つ2世の問題について触れ、「オウム真理教の後継団体でも子どもにも被害が及んでおり、人権問題として扱うべきだ。オウム真理教の起こした事件が忘れられないように伝えていきたい」と話していました。
オウム真理教による一連の事件では5年前、元代表の麻原彰晃、本名・松本智津夫元死刑囚ら13人に死刑が執行されました。
公安調査庁によりますと、教団の複数の後継団体はいまも活動を続け、「アレフ」は団体名を隠して若い世代を対象にした勧誘を活発に行っているということです。

オウム真理教から名前を変えた教団「アレフ」について、公安審査委員会は義務づけられた活動報告が一部行われていないとして、活動を制限する再発防止処分を初めて適用することを決めました。
実施は21日から6か月間で、半数以上の教団施設の使用や寄付を受けることを禁止するとしています。
高橋シズヱさんは20日、「アレフにとっては厳しい状況となったが、彼らの陰湿な体質は変わっておらず、事件の被害者の憤りはおさまっていない」と話していました。
再発防止処分を請求した公安調査庁は「警察当局と連携を図りながら、再発防止処分の実効性を確保していくとともに、引き続き団体の活動実態を把握するなどして今なお事件による苦しみが続いている地下鉄サリン事件などの被害者・遺族をはじめ国民の不安感の解消・軽減に努めていく」とコメントしています。