アルコール分解しにくい人飲酒で遺伝子変異 一部胃がん関連か
スキルス胃がんなど治療が難しい「びまん型胃がん」について世界各国およそ1500人の胃がん患者の遺伝情報を解析した結果、アルコールを体内で分解しにくい体質の人が飲酒をすることで起きる遺伝子の変異が、このタイプのがんの発症リスクを高める可能性がわかったと国立がん研究センターなどの研究チームが発表しました。
飲酒と「びまん型胃がん」の関連が遺伝情報の解析で示されたのは世界で初めてだということです。
「びまん型胃がん」は胃がん全体の3割を占めますが、スキルス胃がんなど腫瘍が散らばるように広がっていくため、治療が難しいことが知られています。
国立がん研究センター研究所の柴田龍弘分野長らのグループは、世界各国およそ1500人の胃がん患者を対象に大規模な遺伝情報の解析を行い、胃がんと関連のある遺伝子の変異を探しました。
その結果、アルコールを体内で分解しにくい体質の人が飲酒をすることで起きる「SBS16」という遺伝子の変異が、びまん型胃がんの発症リスクを高める別の遺伝子の変異と関連していることがわかりました。
グループは飲酒をすることで起きる遺伝子の変異が発症リスクを高める遺伝子の変異を誘発し、びまん型胃がんにつながる可能性が示されたとしています。
びまん型胃がんと飲酒との関連が遺伝情報の解析で示されたのは世界で初めてだということで、今後、予防法や新たな治療法の開発につながることが期待されるとしています。
柴田分野長は「予防に生かすためにはどれくらい飲酒をすると危険なのかなどを明らかにする必要がある。詳しい解析や研究をさらに進めたい」と話しています。