広域強盗 送還1人の容疑者の口座に現金 海外で引き出しも
一連の広域強盗事件で指示を出していた疑いがあり、フィリピンの入管施設から日本に送還された4人のうち1人の口座に、不特定多数の人物から現金が振り込まれ、直後に海外で引き出されていたとみられることが捜査関係者への取材で新たに分かりました。
引き出し先はフィリピンの可能性があり、警視庁が資金の流れの解明を進めています。
1か月前、フィリピンから日本に送還された渡邉優樹容疑者(38)ら4人は、2019年の特殊詐欺事件に関わったとして逮捕され、警視庁は、一連の広域強盗事件でも指示を出していた疑いがあるとみて関連を捜査しています。
これまでの捜査で、4人のうち、今村磨人容疑者(38)の口座に去年、京都市の時計販売店で高級腕時計が奪われた事件に関わったとして逮捕・起訴された被告から、あわせておよそ270万円が振り込まれていたことが分かっていますが、この被告以外にも不特定多数の人物から、同じ口座に現金が振り込まれていたことが、捜査関係者への取材で新たに分かりました。
振り込まれた現金は、直後に、何回にも分けて海外で引き出されていた疑いがあり、捜査関係者によりますと、引き出し先はフィリピンの可能性があるということです。
海外でも両替の必要がなく現地通貨で現金を引き出すことができるサービスが使われていて、銀行側が、目的外利用の疑いがあるとして口座を強制的に解約したということです。
警視庁は、一連の広域強盗事件の指示役が事件で得た金を回収しようとしていた疑いもあるとみて、資金の流れの解明を進めています。
今村容疑者の口座の存在が浮上したのは、一連の広域強盗事件のひとつで、去年5月に京都市で高級腕時計およそ7000万円相当が奪われた強盗事件で逮捕・起訴された被告の供述がきっかけでした。
奪った腕時計の運搬役として関わったとされ、警察の調べに対し「“ルフィ”と名乗る人物に指示されて運んだ」などと供述したということです。
この被告が、事件が起きた時期に現金を振り込んでいたのが、容疑者と同じ名前の「イマムラ・キヨト」名義の口座でした。
大手銀行の札幌支店に設けられた口座で、警視庁が捜査した結果、北海道出身の今村容疑者本人のものと確認されたということです。
広域強盗事件の指示役が名乗った「ルフィ」は今村容疑者と言えるのか。
ある捜査幹部は「匿名で犯行の指示を出す人物が、自分の実名の口座に現金を振り込ませるだろうか」などと話していて、慎重に捜査が進められています。
一方、捜査関係者によりますと京都市の強盗事件の被告は、「ルフィ」と名乗っていた指示役について名前などは知らないとしたうえで「電話で話した際、北海道出身であることや地元の飲食店の話題、現在はフィリピンにいることなどについて話した」と説明したということで、警察当局がさらに詳しく調べています。