マスクの着用方針 学校のなかには見直しを進めるところも

東京・新宿区にある小学校のなかには、4月以降、基本的には児童にマスクの着用を求めない一方、児童の個別の事情に応じて着用を続けてもよいとするなど、場面に応じて柔軟に対応するよう見直しを進めているところもあります。

東京・新宿区にある淀橋第四小学校では、現在、区の指針に基づき、屋内での授業などでは児童にマスクの着用を求めていますが、体育の授業などでは屋内・屋外ともに着用を求めていません。
16日、校内で行われたマラソンでは、教員が事前にマスクを外してもよいと声をかけていましたが、なかには外さずに走り続ける子どももいました。
この学校では学年が上がるほどマスクを着用する子どもが多くなる傾向があるということです。
こうしたなか学校は、国が示したマスク着用の新たな方針を踏まえ、学校現場でのマスク着用のあり方を見直すことにしています。
このうち、来月24日の卒業式では国の通知を踏まえ、校歌の斉唱やいわゆる「呼びかけ」などを除き、ことしは卒業生にマスクの着用を求めないことを決めました。
また4月以降の体育を含めた授業全般や合唱、運動部の活動などでは国の通知を踏まえ、基本的には屋内・屋外ともに児童にマスクの着用を求めないことにしています。
ただ、基礎疾患のある家族がいるなど子どもたちの個別の事情に応じてマスクの着用を続けてもよいとするほか、今後の感染状況によっては改めて授業などでの着用を求めるなど、場面に応じて柔軟に対応するということです。
また、必要に応じて感染対策が速やかにとれるよう当面は児童にマスクを持参してもらうことにしていて、学校は近く、こうした方針を保護者に通知し、理解を求めることにしています。
淀橋第四小学校の久保田恵美校長は「校内の感染状況は落ち着いてきていて、このタイミングでの国の判断についてはよかったと受け止めています。マスクを外して表情が見えれば友だちどうしでの学びも深められると期待しています。安心できる環境を作れるように教職員が知恵を出し合い、子どもにとって何を一番大切にすべきか考えながら取り組んでいきたいです」と話していました。

新型コロナ対策としてのマスクの着用について、政府は来月13日から屋内・屋外を問わず、個人の判断に委ねる方針を決めています。
一方、学校教育の現場では学期末にあたることから混乱を防ぐため、4月1日からマスクの着用を求めないことを基本とするほか、それに先だって行われる卒業式では児童・生徒などは着用せずに出席することを基本とするとしています。
これを踏まえ文部科学省は今月10日、来月の卒業式や4月以降の新学期におけるマスク着用の考え方を全国の教育委員会などに通知しました。
このなかで4月以降の学校での教育活動について、「マスクの着用を求めないことを基本とする」としています。
また、卒業式は、マスクを着用しないことを基本とするとしていますが、国歌や校歌の斉唱やいわゆる「呼びかけ」などではマスクなどの対策をしたうえで実施するよう求めています。
あわせて個別の事情でマスクの着用を希望する児童・生徒がいることなどから学校などがマスクの着脱を無理強いしないようにするなど適切に指導するよう求めています。
文部科学省は、学校現場におけるマスクの着用について、国の方針のもと感染状況などを踏まえたうえで自治体や学校が適切に対応するよう求めていてその際は個人の選択を尊重してほしいとしています。

生徒指導に詳しい大東文化大学文学部教育学科の山本宏樹准教授は、国が学校教育の現場で4月以降、マスクの着用を求めないことを基本とする方針を示したことについて、「“マスクを外すべき”ではなく“マスクを外してもよい”として、最終的な判断を子どもたちに委ねる形になるのだとすればよいことだと思う」と述べました。
そのうえで、「それぞれの学校が感染状況や子どもの個別の事情などを総合的に判断して、マスク着用のルールを作ることが必要になる。家族に基礎疾患のある人がいるなど、さまざまな理由でマスクを外したくないという子どももいるので、そうした子どもが周りにあわせてマスクを外すことがないようにアンケートをとるなどして、子どもの声を大切に拾い上げる取り組みを進めることがいっそう大切になる」と指摘しています。