「PFOS」 多摩地域の住民の血中濃度 国調査の3倍余検出
有害性が指摘されている有機フッ素化合物PFOSなどをめぐり、専門家が市民団体と行った東京・多摩地域の住民を対象にした血液検査で、国が行った調査の3倍余りの血中濃度のPFOSなどが検出されたとする結果が公表されました。
有害性が指摘されている有機フッ素化合物の「PFOS」や「PFOA」は、沖縄県や神奈川県などのアメリカ軍基地周辺の河川や地下水などから、国の暫定的な目標値を超える値が相次いで検出されていて、都内各地の井戸水や地下水からも暫定的な目標値を超える値が検出されています。
こうしたことを受けて、京都大学の原田浩二准教授らは、市民団体と共同で、アメリカ軍横田基地のある多摩地域の住民を対象にした血液検査を行っていて、30日、これまでに検査を受けたおよそ280人のうち、87人の結果を公表しました。
その結果、国がおととし、全国の3地点で行った調査の平均値の3倍余りの血中濃度の「PFOS」と「PFOA」が検出されたということです。
原田准教授は「ただちに健康に影響があるわけではないが、今後の影響の調査や、汚染源の特定、対策の効果の検証なども含め国や自治体がしっかり対応するべきだ」と指摘しました。
市民団体は、ことし3月末まで血液検査を続けて、最終的には600人ほどの調査結果を分析したいとしています。
「PFOS」などについて、アメリカは飲料水にわずかでも検出されないような厳しい指針を示す一方、日本は暫定的な目標値しかなく、国は今月から専門家会議を開いて、正式な目標値の設定に向けて毒性の評価などの検討を進めることにしています。