「5類」移行 介護施設“入院先見つからない現状悪化を懸念”
新型コロナの感染症法上の分類を5類に見直すことについて、介護施設からは感染した高齢者の入院先がなかなか見つからない現状が悪化するのではないかと懸念する声があがっています。
千葉県市川市にある特別養護老人ホーム「親愛の丘市川」では、去年11月から12月にかけて利用者と職員あわせて23人が感染するなど、これまで3度のクラスターを経験しています。
医療機関のひっ迫で感染しても入院できずに施設で療養を続けるケースが相次いでいて、体調が急変した高齢者の搬送先が4時間決まらずその後、死亡したケースもあったということです。
施設長の千野哲孝さんは「感染症法での分類が5類に変わっても、病原性が変わるわけではなく、患者を受け入れる病院が急に増えるとは思えません。いまも県や保健所などと一緒に必死に受け入れ先を探しているのが現状で、保健所などの介入が無くなって病院探しがより困難になると、命の危険にさらされる人が増えるのではないか」と話しています。
このため、5類になってもマスクの着用や健康観察など基本的な感染対策は緩められないとしていて、「公費で治療やワクチンを受けられなくなったり、緩和ムードが広がったりした場合、施設での感染リスクも高まると想像しています。経済を止めないことは大事ですが、高齢の親をデイサービスやショートステイなどに預けて働く人も多く、施設内で感染が広がることの影響や、重症化してしまう人たちのことも考えた議論をしてほしい」と話していました。