2人乗りベビーカー利用者が乗りやすいバスのあり方で意見交換

東京都交通局は、2人乗りベビーカーの利用者が乗車しやすいバスのあり方について、当事者たちと意見を交わしました。

この意見交換会は、先月、双子の母親で2人乗りベビーカーを利用するバレーボール女子元日本代表の大山加奈さんが都営バスに乗車できなかったとして、SNSなどで話題になったことを受けて都の交通局が江東区の営業所で非公開で行いました。
2人乗りベビーカーを利用する当事者2人のほか、オンラインで大山さんも参加し、参加者によりますと、去年6月からベビーカーに子どもを乗せたまま都営バスに乗車できるようになったことを知らない人が多いので周知の徹底を望む意見が出されたということです。
このあと、参加者が実際にバスに乗って、利用の手順を確認し、乗る際は前のドアから、運転手に乗車する意思を伝えることや車内の決められた位置にベビーカーを止め、青いベルトを使って固定することなどの説明を受けていました。
東京都交通局の野崎雅人課長は「当事者だけでなく、ほかの利用者も含め、ベビーカーの利用に理解を深めてもらうよう周知をしていきたい」と話していました。

今回の意見交換会は、双子の母親でバレーボール女子元日本代表の大山加奈さんが、先月投稿したブログがきっかけで開かれました。
ブログによりますと、大山さんは子どもの靴を買うために、2人乗りのベビーカーに双子を乗せて、都営バスを利用しようとしたところ、バス停で乗車しようとした際にドアが開かず乗れなかったり、乗り降りの際にベビーカーの移動を運転手に手伝ってもらえなかったりしたとしています。
都営バスは去年6月、双子用のベビーカーは1人用より大きくて重く複数の子どもを抱えたうえで折りたたんで持つのは困難だとする保護者などの声を受け、そのまま乗ることができるようにしていて、その際必要があれば、運転手がベビーカーの移動を支援するようマニュアルに定めています。
大山さんはブログで「もう少し手を差し伸べてもらえたらありがたいなと。こんな思いをしている親御さんたちや車いすの方たちたくさんいると思うのです。だから批判も来るだろうけどこうして声を上げていきます。困っている人が少しでも救われますように。みんなが暮らしやすい社会になりますように」などとつづっています。
この大山さんのブログの内容はSNSで拡散し、対応のあり方が議論になり、その後、都の交通局は現場にいた運転手らから話を聞くなどして当時の状況を調べていました。
その結果、ベビーカーの移動を手伝わなかったことについては運転手が「ほかの乗客が手伝っていたから大丈夫だと思った」と説明しているということです。
都はこのケースについては対応に問題があったとして、「乗務員の認識不足で申し訳ない」とコメントしています。
一方、ドアを開けなかったことについては、本来、乗車を待つ場所ではない位置に大山さんがいて、バス停の看板で姿が隠れていたため、運転手が気付かなかったとしています。