子どもの知的障害など原因の病気 メカニズムを解明 自治医大
子どもの知的障害などの原因となる「SENDA/BPAN」と呼ばれる病気について、自治医科大学の研究グループが発症のメカニズムを解明したとする成果をまとめ、有効な治療法につながる可能性があるとして注目されます。
「SENDA/BPAN」は遺伝子の異常によって、体の中のタンパク質を分解する「オートファジー」と呼ばれる仕組みがうまく働かなくなることで脳に鉄が蓄積し、子どもの知的障害などの原因となる病気です。
国内に100人から500人ほどの患者がいるとみられ、成人後は運動機能の障害が進行して寝たきりになる場合があります。
この病気について、栃木県にある自治医科大学の研究グループは患者の皮膚から採取した細胞に特定の遺伝子を入れて病気が発症するメカニズムを詳しく調べました。
その結果、「オートファジー」の機能が改善し、蓄積された鉄が体の機能を維持するために体内に供給されるようになったことがわかったということです。
このことから研究グループは脳などに障害を引き起こす原因は蓄積した鉄を体内に供給できないためだとしています。
自治医科大学の村松一洋准教授は「これまでなかった有効な治療法を確立するうえで重要な第一歩だ」と話しています。
「SENDA/BPAN」の患者の家族は、今回の研究成果が治療法の確立につながることを期待しています。
東京・小平市の笹本優さん(11)は3歳で歩けるようになりましたがことばは話せず、6歳の時に専門の医療機関で遺伝子検査を受けて初めて「SENDA/BPAN」と診断されました。
優さんは、知的障害や全身の筋肉が硬直しやすい症状などがあり、自宅ではリハビリを兼ねて毎日、母親とボール投げなどをしています。
母親の寛子さんは一日も早く有効な治療法が開発されるよう家族会の代表として活動しています。
寛子さんは今回の研究成果について、「この病気と闘う全国の家族にとって希望が持てる話です。娘の症状が進行する前に治療法が見つかると信じたい」と話しています。