東京五輪・パラ 組織委文書公開始まる 汚職事件関連は非公開
東京オリンピック・パラリンピックを運営した大会組織委員会の文書の公開が都立の図書館で始まりました。
ただ、大会をめぐる汚職事件に関連したスポンサー契約の資料などは公開されず、対象は限られています。
大会組織委員会の公式文書の公開は、25日から東京・港区の都立中央図書館で始まりました。
公開の対象となる文書は大会の運営や準備に関わるおよそ4000点で、大会に向けたイベントの告知やマスコットキャラクター決定などのニュースリリースのほか、理事会や評議員会の議事録などが含まれます。
都は「大会の歴史的・社会的意義を伝えるため」だとして、JOC=日本オリンピック委員会から寄託を受けてこれらの文書を保管していて、DVDでの閲覧や印刷ができます。
一方、大会をめぐる汚職事件に関連したスポンサー契約の契約書や契約額などの資料は公開されず、対象は限られています。
東京都の前原淳アーカイブ担当課長は「契約書のように会社の情報が含まれて公開になじまない文書もあるが、できるだけ公にできるよう、IOC=国際オリンピック委員会や組織委員会と調整を行った。その結果、公開に至った文書もあるのでぜひ活用してほしい」と話していました。
東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の資料のうち、今回、公開の対象となるのは限られています。
組織委員会は公益財団法人で国や自治体と違って情報公開請求の仕組みがなく、組織委員会の清算法人によりますと、今回、どの資料を公開するかは、弁護士や学識経験者でつくる外部の委員会で検討されて決まったということです。
公開の対象となるのは大会の準備・運営に関する「アーカイブ文書」と呼ばれるもので、大会の歴史的・社会的意義を伝えるためだとして、都がJOC=日本オリンピック委員会から寄託を受けて管理します。
一方、スポンサー契約の契約書や契約料など大会をめぐる汚職事件で注目された資料は公開の対象になっていません。
こうした資料は清算法人が「事業や清算に関する重要な文書」として管理していて、外部の委員会でも非公開とする判断がなされたということです。
清算法人は「個人情報や営業情報などを含み守秘義務が課せられている資料が多く、公開になじまない。また、すべての資料の公開はIOC=国際オリンピック委員会の承認が必要だが、これらの資料については承認していない」と説明しています。
これについて組織委員会で理事を務めた中京大学の來田亨子教授は「今回の公開だけでは不十分で、少なくとも事件の検証に必要な情報の公開はあったほうが望ましい。今後の国際大会の開催に向けて不正が起きない制度や仕組みをつくる必要があるが、それを考えるヒントになる文書が見えない状況になっていて、見えるようにするにはどうすればいいのかという議論を迅速にするべきだ」と話していました。