東京大学 “メタバース工学部”を開講 デジタル技術を駆使

東京大学 “メタバース工学部”を開講 デジタル技術を駆使

インターネット上の仮想空間=メタバースなどのデジタル技術を駆使して、中高生や社会人向けに大学の講義をもとにしたオンライン講座などを提供する取り組みを東京大学の工学部が始めることになり、開講式がメタバース上で行われました。

東京大学工学部の取り組みは、「メタバース工学部」と名付けられ、メタバースなどのデジタル技術を駆使して、中高生や社会人向けに大学の講義の内容をもとにしたオンライン講座などを提供することにしています。
23日は東京大学の安田講堂を再現したメタバース上の空間で開講式が行われ、受講者や招待客などがバーチャルの分身、アバターで参加しました。
このなかでは受講者を代表して情報工学に関するプログラムを受講する高校2年生の林蔚欣さんが浴衣を着たアバターを使ってスピーチを行ったほか、イベントに招待された能楽師が専用の機器でアバターを操作して能の舞を披露しました。
東京大学工学部はメタバースの強みを生かして、年齢や性別、地域に関係なく参加できる新しい学びの場となることを目指していて、研究室を見学するツアーや女性研究者のロールモデルを紹介する企画なども用意し、工学分野に進む女子学生の増加などにもつなげたい考えです。
文部科学省によりますと、中高生や社会人向けに大学の講義と同様の内容をメタバースを活用ながら学べる機会を提供する取り組みは全国的に珍しいということです。
林さんは「大学生と一緒に学べると思うととても刺激的です。技術系のスキルを学ぼうと思っても年齢制限でカットされることが多かったのですが、高校生でも気軽に参加できるので、この機会に頑張って技術を習得したい」と話していました。

仮想空間=メタバースを教育分野に活用する動きが広がっていることについて、専門家は「メタバースを利用することでさまざまな人とフラットに交流することができ、新しい世界を知る機会になる」と話しています。
メタバースの教育への活用に取り組んでいる東京大学バーチャルリアリティ教育研究センターの雨宮智浩准教授はメタバースを活用する効果について、本人に代わってバーチャルの分身、アバターを活用して交流する点に注目しています。
雨宮准教授は「アバターを使うことで自分の偏見や先入観を排除してさまざまな人たちとフラットに交流できるのがメタバースの特徴だ。さまざまな人と広く交流しながら、性別、国籍、年齢、立場を超越して、もう一度新しい人間関係を作り直すとか、そこで新しい文化や社会を知る機会になる」と話しています。
さらに「例えば歴史を教えるときに織田信長のアバターを作って授業を行うなど、授業内容に合わせてアバターを変えるときっと楽しいだろうし、教育効果が期待できる」と述べ、授業を行う側もアバターを活用することで、効果的な授業が行えるとしています。
メタバースの教育分野への活用は新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、オンラインによる授業が普及したこともあり国内でも徐々に広まっていて、経験する機会が減った実験や実習など体験を伴う学びの機会を補完する役割も期待されています。
雨宮准教授は「VRゴーグルをかけたとき、自分が見ているものが現実世界と同じように枠のないものが見えるので、自分事として高い質の体験が得られ、教育だけでなく社会人に対しても訓練や研修で活用できる」と話していました。