国葬 国民の間で賛否割れるなか「弔意」の判断に迷う自治体も

安倍元総理大臣の国葬をめぐり、東京23区に対して、当日に弔意を示す予定があるか取材したところ、「弔意を示す」と答えたのは4つの区で、「弔意を示さない」と答えたのは11の区でした。
残る8つの区は「検討中」と回答し、国民の間で賛否が割れるなかで、判断に迷う自治体も多くなっています。

安倍元総理大臣の国葬について政府は「国民ひとりひとりに弔意を求めるものではない」として地方自治体や教育委員会に弔意表明を求めないことを決め、対応は各自治体に委ねられています。
NHKは、21日までに、東京23区に対して当日弔意を示す予定があるか聞きました。
その結果、庁舎に半旗を掲げて、「弔意を示す」と答えたのは、千代田区、墨田区、足立区、葛飾区の4つの区でした。
足立区は、区役所の本庁舎と区の施設に半旗を掲揚するとしていて、理由については「国が国葬を行うと決めた以上、行政機関として弔意を示す必要がある」としています。
一方、「弔意を示さない」と答えたのは11の区でした。
その理由について、杉並区は「各種世論調査をみても、国民の合意は得られていないと考える。法整備や国費投入の課題も指摘されている」とし、世田谷区は「国民の賛否が分かれるなかで、新たな分断を起こさないようにしたい」と説明しています。
また、残る8つの区については、対応を決めかねるとして、「検討中」と答えました。
理由については、「国葬をめぐる国民の賛否が割れるなか、ほかの自治体の対応をギリギリまでみて決めたい」とか、「国からの通知がない」などとしています。
23区のなかで、区民や職員に黙とうを求めるとしたところはありませんでした。
行政学が専門の同志社大学の真山達志教授は「23区は財政的にほかの市町村と比べて強いため、より世論を尊重しなければと考えることで判断に困っているのではないか。国葬をやると決めた国が、弔意については『なにも言いませんからご自由に』というのは、無責任な対応だ」と指摘しています。

東京23区のなかで国葬当日に弔意を示すとしているのは、千代田区、墨田区、足立区、葛飾区の4つの自治体です。
千代田区は、区役所の本庁舎に半旗を掲揚するということで、理由については「国葬の会場がある自治体のため、弔意を示す必要がある」としています。
また、樋口高顕区長が「国が行う儀式のため」という理由で、23区の区長のなかでは、唯一、国葬に出席することにしています。
墨田区は「亡くなった元首相への礼節を示すため」として、区役所本庁舎に半旗を掲揚することにしています。
足立区は、区役所の本庁舎と区の施設に半旗を掲揚するとしています。
理由については「国が国葬を行うと決めた以上、行政機関として弔意を示す必要がある」としています。
葛飾区は区役所の本庁舎と区の施設に半旗を掲揚することにしていて、理由については「国のリーダーシップのもと区政運営をしてきた。国が決めたことなので自治体として弔意を示す必要がある」としています。
なお、4つの自治体とも、職員や区民に対して黙とうは求めないとしています。

東京23区のうち、中央区、港区、新宿区、台東区、江東区、品川区、世田谷区、中野区、杉並区、荒川区、そして板橋区のあわせて11の区が国葬当日に弔意は示さないと答えました。
このうち、世田谷区は「国民の賛否が分かれるなかで、新たな分断を起こさないようにしたい」としています。
また、杉並区は「各種世論調査をみても、国民の合意は得られていないと考える。法整備や国費投入の課題も指摘されている」としています。

東京23区のなかで、「検討中」と回答したのは、文京区、目黒区、大田区、渋谷区、豊島区、北区、練馬区、江戸川区のあわせて8つの区です。
「検討中」とした理由については国から通知が来ていないことや国民の間でも賛否が分かれていることを挙げました。
具体的には、「おととしの中曽根元総理大臣の合同葬の際は、国から通知が来ていたためそれにならって半旗を掲げて弔意を示した。ただ今回は現時点で、国から通知が来ておらず、対応を決めかねている。賛否が分かれているので、ほかの区の状況をギリギリまで見極めたい」という声や、「報道などをみると、国葬に反対する声が増えているようにも感じられ、慎重な判断が必要なため、内部で検討を続けている」といった声が聞かれました。
どの区も近いうちに、対応を決めたいとしていますが、国葬まで1週間を切っても、判断に迷い、対応に苦慮する区の姿勢がうかがえます。

今回の国葬については、世論が大きく割れています。
NHKが、今月9日から3日間行った世論調査で、政府が、今月27日に安倍元総理大臣の「国葬」を行うことへの評価を聞いたところ、「評価する」が32%、「評価しない」が57%でした。
さらに「国葬」についての政府の説明は十分だと思うか尋ねたところ「十分だ」が15%、「不十分だ」が72%でした。
東京や神奈川県の自治体のなかには、議会で国葬に反対する意見書を可決したところもあります。
このうち、神奈川県の鎌倉市議会では、国葬の実施の撤回を求める意見書を賛成多数で可決しました。
意見書では、「国葬に明確な法的根拠がない以上、国葬を行うのであれば、国会で議論が尽くされるべき」としたうえで、「国民を二分するような国葬を行うべきではない」としています。
東京の国立市議会も、国葬の中止を求める意見書を賛成多数で可決しました。
意見書では、国会審議を経ずに決定されたことは国会軽視で容認できず弔意の強制につながることを強く危惧するとして、国葬の中止などを求めています。