安平川の水質検査でPFAS検出 ラピダスの工場で使用予定

千歳市のラピダスの工場で使用される予定の安平川の水質検査で、有機フッ素化合物の「PFAS」が検出され、国が設定する飲料水の暫定目標値を上回りました。道は工業用水としての使用に問題はないとした上で、検出された原因などを調べることにしています。

先端半導体の国産化を目指すラピダスの工場では苫小牧市などの工業団地で利用されている水源を工業用水として使用する予定で、道は取水地点の安平川で「PFAS」の水質検査を実施しました。
この結果、「PFAS」のうち有害性が指摘されている「PFOS」と「PFOA」について、1リットルあたり59ナノグラムが検出されたということです。
国が飲料水の暫定目標値としている1リットルあたり50ナノグラムを上回りましたが道は工業用水に基準値などが設定されていないことから工場での使用に問題はないとしています。
一方、今回「PFAS」が検出された地点の上流には安平町の上水道を取水する浄水場があることから、町が水質検査を行っているということです。
道は引き続き、水質調査を行うとともに、検出された原因などを調べることにしています。

【「PFAS」とは】
「PFAS」は、「炭素」と「フッ素」が結合した化合物=有機フッ素化合物の総称で、人工的に作られた1万種類以上の物質があるとされています。
このうち、一部の物質は水や油をはじく性質を持つため金属メッキの処理剤や半導体などの幅広い用途に使われてきましたが、分解されにくいことから自然界にいったん排出されると長期にわたって残留し、環境や食物連鎖を通じて人の健康や動植物の生息に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
国はとくに有害な2種類について、都道府県などに水質の調査を求めていて、各地の河川や地下水から高い濃度で検出されたことで地域住民にも不安が広がっています。
環境省がことし3月に公表した令和4年度の調査結果でも、38都道府県の河川や地下水など1258地点のうち、大阪府や沖縄県など16都府県の111地点で国の基準を超える濃度のPFASが検出されていました。
PFASの人体への影響をめぐっては、海外の研究で発がん性などが指摘されていますが、国内ではいまだ十分な科学的知見がないとされていて、環境省は、今年度から北海道大学などの3つのグループに委託し、健康への影響を明らかにするための研究を進めています。