苫小牧港でフェリー座礁 運輸安全委が調査官派遣し原因調査へ

2日未明、乗客乗員あわせて140人を乗せたフェリーが苫小牧港の入り口付近で座礁しました。フェリーはタグボートにえい航されて、予定よりも11時間以上遅れてターミナルに到着しましたが、けが人や体調不良を訴える人はおらず、国の運輸安全委員会は事故調査官を派遣して、原因を調査することにしています。

2日午前1時20分ごろ、苫小牧港へ入ろうとしていたフェリー、「シルバーブリーズ」から「入り口付近で乗り上げた」と苫小牧海上保安署に通報があり、海上保安署が確認したところ、波消しブロックに乗り上げて座礁していました。
現場では、潮位が上がるのを待って、タグボートでフェリーをえい航する作業が行われ、午前11時40分ごろに座礁した場所から引き離されました。
その後、予定よりも11時間以上遅れて、午後0時45分ごろ、フェリーターミナルに到着し、乗客たちを降ろしました。
フェリーには乗客乗員あわせて140人が乗っていましたが、けが人や体調不良を訴えている人はなく、浸水や油の流出はなかったということです。
「シルバーブリーズ」は「川崎近海汽船」が運航する総トン数およそ8900トンのフェリーで、青森県の八戸港を1日午後5時半に出発し、2日午前1時半に苫小牧港に到着する予定でした。
川崎近海汽船は2日と3日、「シルバーブリーズ」の運航を取りやめるほか、9月3日の運航分までこの船の新規の予約受け付けを停止しているということです。
海上保安署によりますと、座礁した現場付近の当時の天候はくもりで、風速2メートルの東の風が吹いていたということです。
この事故を受けて、国の運輸安全委員会は原因を調査するため、事故調査官3人を現地に派遣し、3日から船体の確認などを行うことにしています。
【フェリーの乗客は】
青森県の十和田市から来た60代の女性は、「船内放送で『まもなく着岸いたします』といわれ、準備しようと思ったら震度3の地震のような揺れがあった。その後、しばらく動きもなかったので、外を見たら波消しブロックがあった。船内の人たちは落ち着いていて声を荒げるような人はいなかった。船が動いたときにはみんなで拍手した」と話していました。
また、八戸市の20代の男性は、「音と振動で何かがあったんだろうというのは分かった。ガガガという音がして転びそうになった人もいた。船が遅れ、予定に間に合わなくなってしまったので残念だ」と話していました。