名寄の畜産会社の工場で被害 再びクマ侵入し荒らしたか

7日朝、名寄市にある畜産会社の工場の敷地内で肉が包まれていた袋などが入った麻袋が荒らされているのが見つかりました。この工場では先月も牛の皮が荒らされているのが見つかっていて、警察はいずれもクマが侵入し荒らしたとみて、注意を呼びかけています。

7日午前6時40分ごろ、名寄市日進にある「マルハニチロ畜産」の名寄工場で、屋外に置いてあった廃棄物が入ったおよそ100キロの麻袋が荒らされて、袋の中身が敷地内に散乱しているのを出勤した従業員が見つけ、警察に通報しました。
警察によりますと、工場に設置されている防犯カメラの映像を確認したところ、午前2時半ごろにヒグマ1頭が肉が包まれていた袋や業務用の手袋などの廃棄物が入っていた麻袋をあさっている様子が映っていたということです。
麻袋は工場敷地内の屋外に6つ置かれていて、このうちの1つが荒らされていたということです。
この工場では、先月31日にも屋外に保管していた牛の皮が荒らされているのが見つかっていて、警察や市は現場に残された足跡などからクマが侵入したとみて、警戒を続けていました。
警察は市内のパトロールを行うとともに、近くの住民に注意を呼びかけています。

【名寄でクマの目撃相次ぐ】
道北の名寄市では今シーズン、クマの出没が相次ぎ、被害も出ています。
市によりますと、ことし初めてクマの出没情報が寄せられた3月29日から6月6日までに市内で確認されたクマの目撃や痕跡の件数は35件で、去年の同じ期間と比べて2倍近くに増えています。
このうち、4月18日には市内中心部の住宅地で複数回、目撃され、翌19日、同じ個体とみられる体長1メートル30センチほどの1頭が地元の猟友会によって駆除されました。
4月25日には名寄市智恵文の林道で愛知県から観光に訪れていた男性が体長1メートル40センチ前後のクマ2頭と遭遇。
このうち1頭が襲いかかってきたため、顔を蹴ったところ、2頭とも山奥に逃げていったということです。
男性にけがはありませんでした。
また、クマによる被害も出ています。
先月31日には名寄市日進にある畜産会社の工場敷地内で保管していた牛の皮が荒らされているが見つかり、近くにクマのものとみられる足跡やフンが残されていたことから、警察はクマが侵入して荒らしたとみています。
工場の近くでは▼31日夜、東におよそ350メートル離れた道道でクマ1頭が横断するのが目撃されたのに続いて、▼翌6月1日には東におよそ800メートル離れた畑に幅20センチほどのクマの足跡が複数あるのが見つかりました。
相次ぐクマの出没に危機感を強めた▽名寄市と▽名寄警察署、それに▽市内の企業は今月4日、ドローンを活用して共同で対処する協定を結びました。
協定では市内でクマが出没した際に市と警察が協議して、住民に危険が及ぶと判断した場合、企業に出動を要請。
企業はドローンを飛ばして上空からクマを追跡して監視したり、住民に避難や注意を呼びかけたりするということで、地元ではクマ対策の“新たな武器”として期待が高まっています。