札幌 男性死亡のひき逃げ事件 一部無罪の判決 札幌地裁

去年、札幌市で横断歩道の近くに横たわっていた男性を車ではねて死亡させそのまま走り去ったとして過失運転致死とひき逃げの罪に問われた被告の裁判で、札幌地方裁判所は「被害者に気づけなかった可能性は否定できない」として過失運転致死については無罪とし、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

札幌市東区のアルバイト従業員、濱岡卓被告(48)は去年7月、札幌市北区で横断歩道の近くに横たわっていた30代の男性を車ではねて死亡させ、現場から走り去ったとして過失運転致死とひき逃げの罪に問われました。
裁判で、被告側が無罪を主張したのに対し、検察側は捜査機関が事故現場で行った実験結果から、運転中でも路上に横たわる男性に気づけたはずだとして懲役2年を求刑していました。
5日の判決で札幌地裁の新宅孝昭裁判官は「実験は、被験者が男性の横たわっていた場所をあらかじめ知った上で実施されており、その結果をもって事故当時も同じように気づけたとは認められない」と指摘しました。
その上で「被告が前をよく見ていたとしても被害者に気づけなかった可能性は否定できない」として過失運転致死について無罪としました。
一方、ひき逃げについては「事故現場に戻った際、人をはねた可能性を認識したのに状況を一切確認することなく立ち去っていて、非難の程度は相応に大きい」として懲役8か月、執行猶予3年を言い渡しました。
判決について札幌地方検察庁の石井壯治次席検事は「判決内容を精査し適切に対応したい」とコメントしています。