ススキノ男性殺害 母親 初公判で否認 “違うと思う点ある”

去年、札幌の繁華街・ススキノのホテルで頭部を切断された男性の遺体が見つかり親子3人が起訴された事件で、遺体の遺棄などを手助けした罪に問われた母親の裁判が、4日、札幌地方裁判所で始まり、被告は起訴された内容を否認しました。

去年7月、札幌市中央区のホテルで恵庭市に住む60代の男性が殺害されたうえ頭部を切断された事件では、札幌市厚別区の▼田村瑠奈被告(30)が殺人や死体遺棄などの罪に、▼父親で医師の修被告(60)が殺人などを手助けした罪に、また▼母親の浩子被告(61)は娘が被害者の頭部を自宅に隠し損壊することを手助けした罪に問われています。
4日札幌地方裁判所で開かれた初公判で浩子被告は、起訴された内容について、「違うと思う点がいくつかあります。娘から持ち帰った頭部を隠したいと言われたことはなく容認していたというのは違います」と述べました。
また、遺体の損壊についても「ビデオ撮影を求められましたが何を撮影するのか具体的な内容は知らず、実行を容認していません。撮影と聞きとても耐えられないと思い、夫にお願いしました。犯罪を手助けする意思はなかった」などと述べて否認し、弁護側は無罪を主張しました。
一方、検察側は冒頭陳述で「被告は娘が自宅に頭部を持ち込み隠していることを知ったが、夫婦で容認しそのまま生活を続けていた。遺体の動画撮影を求められた際も夫の修被告に撮影を依頼しており犯行を容易にさせた」などと指摘しました。
娘と父親は裁判員裁判の対象で、母親と分離して行われる予定で、裁判の日程はまだ決まっていません。
先に行われる今回の裁判で事件の経緯がどこまで明らかになるかが焦点となります。

【初公判の傍聴券倍率は7倍超】札幌地方裁判所では開廷のおよそ2時間前の午後0時45分から傍聴席の抽せんを行い、裁判所の玄関前では傍聴を希望する人が長い列を作りました。
札幌市の19歳の男子大学生は「注目されている事件なので、事件に関わった人がどういう気持ちだったのかを知りたいです。傍聴席の抽せんに当たればいいなとは思いますが今後もニュースで動向を追っていきたいです」と話していました。
また、札幌市の50歳の女性は「事件現場のホテルの近くに住んでいるので怖いなという気持ちがずっとありました。被告がどんな人なのか、どうしてこんなことをしたのか知りたいです」と話していました。
札幌地裁によりますと、50席の傍聴席に対して傍聴を希望した人は357人で倍率はおよそ7倍だったということです。

【事件の経緯まとめ】事件が起きたのは去年7月。
札幌の繁華街・ススキノにあるホテルの客室から頭部のない男性の遺体が見つかりました。
ホテルには男性の所持品が一切残されておらず、警察は殺人・死体遺棄事件として捜査本部を設置しました。
警察が注目したのが周辺の防犯カメラの映像でした。
NHKが入手した映像には、被害者の男性と一緒にホテルに入る白っぽい服装の人物が写っています。
このおよそ3時間後、全身黒ずくめで金色の髪の人物が1人で出てきていました。
警察はこうした防犯カメラの映像などを分析したり、被害者の交友関係を調べたりして捜査を進めます。
そしておよそ3週間後、逮捕されたのは札幌市内に住む親子でした。
田村瑠奈被告(30)と父親で医師の修被告(60)、それに母親の浩子被告(61)が死体遺棄や損壊などの疑いで逮捕され、その後殺人の疑いで再逮捕されました。
防犯カメラに写っていたのは瑠奈被告とみられ、3人の自宅からは頭部が見つかりました。
検察は3人の刑事責任能力を調べるため異例の長さとなるおよそ半年間にわたる鑑定留置を行うことを決定。
この間、両親は公の場で事件について語っています。
鑑定留置を不服として裁判所に理由を開示するよう求める手続きの中で、事件は娘が起こしたという認識を示して謝罪したうえで、自らの容疑については否認しました。
検察はことし3月、刑事責任が問えると判断し、3人を起訴。
起訴状によりますと▼殺害を実行したのは瑠奈被告で、ホテルで被害者を殺害し、頭部を切断して自宅に持ち帰ったとしています。
さらに犯行を両親が手助けしていたと指摘。
▼父親の修被告は犯行に使うナイフやスーツケースを事前に購入し、事件当日も、娘を車で現場まで送迎していたほか、▼母親の浩子被告も娘が頭部を自宅に隠すことを容認していたとしています。